国際情報

第2次大戦末期 米軍は日本本土上陸作戦でサリン攻撃準備

今年で日米開戦70周年を迎えるが、第二次世界大戦末期の1945年5月、米統合参謀本部は日本軍へのとどめの攻撃となる日本本土上陸侵攻作戦(ダウンフォール作戦)の実施を決めた。まず同年11月に九州南部に上陸し、翌年3月には神奈川県相模湾、千葉県九十九里浜に上陸、一気に首都東京を制圧するというもので、陸海軍合わせて180万人以上の兵力を動員する米軍史上最大規模の作戦だった。

ところが発令から2か月後、米国は原爆実験に成功し、広島と長崎に投下。日本はポツダム宣言を受諾して無条件降伏し、同作戦は幻に終わる。

もし日本が降伏せずに、米軍の侵攻作戦が実施されていれば、どんな事態になっていたのか。実は米軍は「恐るべき兵器」を用意していた。オウム真理教事件で使われた、神経ガス、サリンである。

当時の状況が、米軍化学戦部隊の極秘資料を入手した米ソルトレークシティ市の新聞『デザレット・ニューズ』(1994年8月4日付)によって、明らかにされている。

同紙によると、米統合参謀本部は、神経ガス(サリン)を使用すれば、日本に侵攻してもほとんど死者を出さずにすむと信じ、ドイツ崩壊後から米軍が太平洋で毒ガス戦を展開できるよう、マスコミと協力して世論づくりをしていた。またジュネーブ協定で毒ガスの使用は禁止されていたが、日本軍が中国で使用したという事実が、米国側の罪悪感を軽減したとも指摘する。

米軍は戦闘意欲を失わない日本軍はもとより、玉砕思想を叩き込まれた一般国民にもかなりの脅威を感じていた。原爆にしろ、サリンにしろ、その作戦の底流には、日本の一般市民を殺戮しても構わないという思想があったことは間違いない。

※SAPIO2011年12月28日号

関連キーワード

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン