ライフ

やらせ騒動「食べログ」でハズレを引かず打率上げる賢い利用術

話題のニュースや著名人などに縁のある料理を紹介する「日本全国縁食の旅」。食事情に詳しいライター・編集者の松浦達也氏が今回は、「食べログ」の賢い利用方法を伝授する。

* * *
食べログの「やらせ」騒動が問題視されています。最近では開店したばかりのお店に高得点&店を激賞するレビューが書きこまれ、足を運んだユーザーからの「あの点数はおかしい!」と怒りの書き込みも散見されますが、じつは明らかに「不正」という採点やレビューはほんの一握り。人の好みは千差万別、友人と食事をする場合でも好みの合う人、合わない人がいます。

食べログでも同様で、高得点だからといって必ず満足いく店とは限らず、得点が低いからと切り捨てると後悔するお店も少なくありません。極端な例では、4点でもおかしくないのに2点台という飲食店やその逆もあります。

見知らぬ誰かのレビューをアテにして、新規開拓をするには、それなりのリスクを背負う覚悟が必要です。では、食べログとどう付き合えば、ハズレを引かず、打率を上げられるのでしょうか。

1.自分と好みが似た人をベンチマークする
本当は細かい条件を聞き取れる、リアルにグルメな友人を選びたいところですが、そうそう都合のいい人などおりません。食べログを利用するなら、自分と好みの似たレビュアーを探すのが、一番手っ取り早く、好みの店にたどり着ける手段です。飲み会やデートのときにあわてて探していては遅いのです。まずは自分が行ったことのある好きな店、嫌いな店を検索して、似た感想を持つ人を何人でもピックアップ! さらには行動エリア、行列のOK/NG、飲酒傾向、喫煙/禁煙など、レビュアーの生活習慣や嗜好もチェックしておきましょう。この段階では「幸せのカタチ」が共通する人を大量に選ぶのがコツです。

2.レビュー内容が具体的なレビュアーを絞り込む
上記で似た感想を持つ人をピックアップしたら、具体的な記述でレビューをかける人を絞り込みましょう。「××がイイ感じ」とか「とにかくうまい」などという抽象的な表現をする人とは、一見ツボが同じようでもポイントがズレている可能性もあります。

精度を上げるためには、より具体的に好みのツボを押さえておきましょう。とにかくここまでは、「趣味が合う」という人を何人でもセレクトしておいてください。「このジャンルならこの人が近い」、「この用途なら彼女かな?」というように担当制を敷けるとベストです。

3.店の格やジャンルごとの傾向を読む
ぼくたち一般の食いしん坊同様、食べログのレビュアーさんも「星」には弱いよう。みんな、そこでしか得られない感動体験を積みたいのです。ですからミシュランガイドに掲載されているような“名人”のいる“名店”で予約が取りづらい飢餓感を煽るタイプの店は、当然得点ランキングでも上位に。またトラットリアやビストロなどの王道、かつ気軽に通える業態の店舗も約3.5以上のスコアで好みさえ合えばそうそうヒドイ目に遭うことはないはずです。

ただし一部のスペイン料理店のように、目先を変えた料理などは好みが分かれる上、やや高額になることもあり、点数が少々辛めに抑えられているようにも見受けられます。中華料理店は、点数が高くとも高級中華と街場のラーメン屋の間に、無数の業態/サービスが混在しているので、接待などで使うなら知っているお店にとどめておいた方が無難でしょう。

4.食べログレビュアーはオトク大好き
食べログのレビュアーは一部の例外はあるものの、全体として“オトク”への意識の高さが伺えます。4.00点近い高評価を得る都内のレストランのスタッフは食べログユーザーを次のように評しています。

「レビュアーと目される方々が、よく口にするのが、『コストパフォーマンス(CP)』と『サービス』。たまに高級店と比較して「××よりもCP高いね」とおホメ頂くこともありますが、向こうはうちよりも遥かにいい素材を使い、手間をかけ、質の高いサービスを提供している。うちのようなリーズナブルな店と、高級店と同列に比べて頂いても先方に申し訳ない限りです」

そもそも高級店に通うということは好みなどを把握してもらい、信頼関係を構築した後に真価を発揮します。食べログなどで調べていきなり訪れても、そのサービスの真髄を満喫することはできません。しかし、リーズナブルで“オトク”な飲食店については、好みさえ合えば一定の信頼感はあると言えるでしょう。

5.エリアによって、基礎点数が異なる
言うまでもなく、食べログは全国規模のサービスですが、ぼく個人として食べた限りでは各県人の気質の違いからか、基礎点の基準が微妙に異なる印象があります。東京を標準としたときに、博多や札幌のようにいい地元でいい素材が獲れる地方の都市部はやや控えめなスコアになる傾向が。普段からいいモノを食べつけているので、同じモノへの評価が低めになってしまう。

さらに現地の気候のなかで食べるからこそウマイと言えるものもあります。逆に東京への対抗意識が根強い大阪や、閉鎖的だと言われる名古屋のような街では全体としてやや高めの数字になっていることが多いかもしれません。

最近では一部に「食べログへの書き込みお断り」という飲食店も出現しています。あちこちの飲食店に出かけていくのも悪くはないのですが、地元の個人経営の飲食店に定期的に通って、関係を育てていく。どんな店かを確認するのも、どう関係を構築するかも自分次第。しかしそのためのとっかかりに、食べログはなるはずなのです。

関連記事

トピックス

大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン