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「組合事務所の退去」要求の橋下市長 組合側は裁判の構えも

大阪市が仕事始めを迎えた1月4日。橋下徹・大阪市長が「2012年の初仕事」に据えたのは、職員労組を束ねる「市労働組合連合会(市労連)」の“追放”だった。

登庁した橋下氏は年頭挨拶に先立って市労連の執行委員長と会談して、庁舎内に構える組合事務所の退去を要求。退去するまで賃料の減額を認めないことも通告した。

「労連側から“会談は非公開に”と要請されていたが、市長は“組合に疑問を持つ市民が多い。オープンな場で話す”と突っぱねた。また、退室時に委員長が握手を求めると露骨に拒否するなど、さながら市長による労組の“公開処刑”だった」(全国紙在阪支局記者)

その30分後に行なわれた市幹部への年頭挨拶でも、橋下市長は組合活動の適正化条例を2月議会に提出することを表明した。その狙いを橋下ブレーンの一人が語る。

「大阪都構想にしろ教育改革にしろ、あるいは市職員のリストラにしろ、その抵抗勢力の根城を潰さないで突き進めば妨害を喰らう。まずは敵の司令塔を叩く」

“司令塔”という言い方には理由がある。昨年11月のW選挙の際に、市職員が広報誌やHPで維新の会批判を展開したほか、公金を使って対立候補の支援に回ったことを橋下氏は当選後から厳しく批判してきた。橋下氏はそうした反維新キャンペーンの“発信源”を職員労組と見なしている。

抵抗は必至だ。橋下氏に批判的な大阪市の中堅職員がいう。

「市役所の地下1階には、市労連など6つの職員組合が計約750平方㍍の事務所を構えている。賃料は本来なら年間3600万円だが、現在は6割減の1440万円。他所で同等の物件を同じ金額で借りられる場所はない。組合活動が大きく制限されるから、撤去は絶対に受け入れられない」

市労連は回答を保留しているものの、裁判闘争に打って出る動きもあるという。

橋下氏と同様に、竹原信一・前阿久根市長が市役所の徹底改革を掲げた鹿児島・阿久根市ではこんなことが起きた。竹原氏が語る。

「在任中の2009年、私は庁舎内の組合室の使用許可を取り消して、退去通告しました。それが既得権となっていただけでなく、組合室から私のリコール運動の手紙や電話をしていたことも明らかになったからです。

だが、市職労側は“市長の個人的な嫌悪感による命令”として裁判に訴え、居座り続けた。結局、私が昨年1月の出直し選挙で役所を去ると、すぐに新市長と和解し、現在も同じ場所を占拠している。大阪では橋下人気があるので組合が表立って抵抗できないかもしれませんが、裁判に持ち込んで長期化させる可能性はあると思います」

※週刊ポスト2012年1月27日号

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