肺の気管支の先端には、柔らかで弾力性のある肺胞がブドウの房のように連なり、息を吸い込むと膨らんで大量の空気を溜めこむ。肺胞で酸素を取り込み、体内の二酸化炭素を取り出して呼気として吐きだしている。
主に、この肺胞と肺胞の間にある間質に何らかの障害や炎症が起きるのが間質性肺炎で、原因が特定できない特発性間質性肺炎は7種類の病型がある。
一番多いのが特発性肺線維症(IPF)で、炎症修復のためにコラーゲンなどが増加して間質が厚く硬くなり、線維化が進む。主な症状は長引く空咳や動作時の息切れ、指の先が太鼓のばち状に太くなるばち指などで、重症例では肺が蜂の巣状になり呼吸不全で死に至ることもある。喫煙が発症リスクの一つだが、発症原因は不明だ。東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科の本間栄教授に話を聞いた。
「IPFは特発性間質性肺炎患者の60~70%を占める慢性の進行性疾患で、予後が悪いという特徴があります。診断は職業歴や喫煙歴などの問診と呼吸機能検査、血液検査やX線画像などで総合的に行ないます。肺の聴診による、パリパリという特徴的な音も早期発見に繋がります」
IPFは加齢も関与しているといわれ、高齢化に伴い患者が増える可能性がある。8週間以上空咳が続く、日常動作で息切れが激しいなどの症状が起こったら専門医の受診が欠かせない。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2012年3月16日号