ライフ

いしかわじゅん氏 エロ雑誌に作品持ち込み急に売れっ子に

 ストーリーギャグの巨匠、いしかわじゅん氏は、かつて官能劇画界の売れっ子だった。現在は漫画だけでなく、小説や漫画評論でも幅広く活動する氏が、デビュー当時を振り返る。

 * * *
 俺、デビューして1年くらいは食えなくてね。ストーリー漫画の手法でギャグをやるっていう、当時まだなかった漫画を描いていて、新しいことをやっていれば仕事は来ると思ってたんだよ。だけど、いろんなところに持っていっても、次の仕事につながらない。

 そうやって1年くらい食えない状態で途方に暮れてた頃、本屋で漫画誌を見回してたら、変な雑誌が何冊かあるのに気付いたんだよ。エロなんだけど、投稿欄や書評欄があったりして。ここだったら、俺が描いてるものをわかってくれるんじゃないかって思って持っていったら「面白いね。じゃあ、今月から連載で」って言うの。同じようなエロ誌に持っていったら、どこでも「連載で」って言われて、急に売れっ子になっちゃって(笑)。

 1979年、「漫画エロジェニカ」から依頼があったんだけど、既に大手の仕事を始めてたし、どうせなら部数が多くて原稿料が高いところで描きたかったから、「もうエロ劇画で描く気はないから」って断わったんだけど、当時の編集長の高取英が「何ページで何を描いてもいいから」って言うんだよ。「今月は何ページって言ってくれれば言われた分のページを取ります。カラーがよければカラーページ確保します!」って。それならってことで始めて、割と面白いことができたよ。

 エロ本ってもともとは編集者自身が「肉体労働者が読むものだから、女が股開いてればそれでいいんだよ」なんて言ってたジャンルだった。でも、だんだん若い編集者が1冊任されるようになって、「エロ以外のものが載っていても部数が落ちない」って気付いて、エロの中に毛色の違うものも載せるようになってきた。ブームの頃には編集者も漫画家も「何を表現するか」というのをすごく意識してたよ。最先端すぎて、抽象的で難解で俺も理解できないようなものが普通に載ってたよ(笑)。

 当時の俺なんて今見ると本当にヘタで恥ずかしいんだけど、ヘタでも描きたい意志だけはあった。熱意があって、変なものが描ければ参入できたんだよな。

※週刊ポスト2012年3月16日号

関連キーワード

トピックス

再選を確実とし、あいさつする小川晶氏(時事通信フォト)
《ラブホ通い詰め問題》「1日100人に謝罪&挨拶」「ポエティックなインスタ投稿」で小川晶氏が前橋市長に返り咲き、支援者は「皮肉だけど、山本一太さんに感謝状を渡したい(笑)」
NEWSポストセブン
高木美帆(Getty Images)
【ミラノ・コルティナ冬季五輪】荻原次晴さんが解説 「五輪の魔物」に打ち勝てる連続メダル候補の選手たち 高木美帆、渡部暁斗、平野歩夢、小林陵侑、高梨沙羅ら
週刊ポスト
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
《クスリ漬けか…との声も》ギャル系美女が映っていた“異様な監視カメラ映像”とは》「薬物を過剰摂取し、足も不自由で、死んでしまう…」中国インフルエンサー(20)の住居の管理人が証言
NEWSポストセブン
100円ショップ(写真提供/イメージマート)
《100円という呪縛》物価上昇と円安に苦しむ100円ショップ 「一度100円と思い込まれたものを値上げするのは難しい」と店主が嘆く
NEWSポストセブン
中国人インフルエンサーがカンボジアの路上で変わり果てた姿で発見された(TikTokより)
「クスリを支配の道具に」「行為中に使う客層も…」変わり果てた中国人美女インフルエンサーが保護されたシアヌークビル、専門家が語る現地アングラ界隈のリアル
NEWSポストセブン
木原龍一、三浦璃来(写真/AFLO)
【ミラノ・コルティナ冬季五輪】小塚崇彦さんが解説するフィギュアスケート日本代表の強さ 世界王者「りくりゅう」だけじゃない「史上最強の代表陣」
米・ミネソタ州でICEの職員が女性に向けて発砲し死亡した事件が起きた(時事通信フォト)
【本当に正当防衛か?問題動画検証】米・ミネアポリスで移民当局が女性射殺 国と市長が異例の対立…「女性が抵抗」トランプ大統領・「狂った左派」バンス副大統領vs.「でたらめだ」市長
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
〈自慢のロングヘアがボサボサに…〉中国美女インフルエンサー(20)、精神に異常をきたして路上生活…母親が電話で抱いた疑念「話し方を指示されているのでは」【高給求めてカンボジアに渡航も】
NEWSポストセブン
月9ドラマ『絶対零度』で主演を務めた沢口靖子
《60歳とは信じられない美姿勢》沢口靖子、“本人も継続を断念”した『科捜研の女』完結後は…各局が熱視線を送る理由
NEWSポストセブン
秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《不敬どころの騒ぎじゃない》秋篠宮家・佳子さまも被害に…AIを用いた性的画像の被害が世界的問題に 専門家が指摘「男女問わず人権侵害」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《もう家族でハワイに行けない…》“1.5億円の脱税疑惑”の宮崎麗果、“ESTA取得困難”で恒例の「セレブ旅行」は断念か SNSで「深い反省」示す
NEWSポストセブン
元旦に離婚を発表した吉岡美穂とIZAM(左・時事通信フォト)
《3児の母・吉岡美穂がIZAMと離婚》夫のために「“鬼嫁キャラ”を受け入れた妻の想い」離縁後の元夫婦の現在
NEWSポストセブン