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被災地を空撮した空撮家 「遊び道具で飛んでいいのか躊躇」

 震災前からモーターパラグライダーで、いわきの街並みを空から撮影し続けてきた空撮家の酒井英治氏。震災後、「自分がやるべきは、津波の記録を残すことだ」と考えたが、迷いもあったという。

「海岸線では、行方不明者の捜索が続いている。その上を、しょせんは遊び道具であるパラで飛んでいいものか、と躊躇しました。しかし、被災者に配慮して普段より高度を上げて飛行し、その映像と震災前の様子を比較して見られるようにしたDVDを作成したところ、それを見た被災者の方から『流された自宅が映っていた。あの映像が心の支えになっている』などという声を数多くいただきました」(酒井氏)

 2月25日には、やはり被災地を空撮した写真集も発売した。実は、DVDを購入した高齢者の家には、再生機器がないケースが多かった。「見られなくてもいい。大切な映像だから買った」というお年寄りもいたという。それが、写真集作成の原動力の一つとなった。この写真集も地元の人からは好評だ。

「今後もいわきの復興の記録を撮ることで、みなさんに、被災地に関心を持ち続けてもらいたい」(同)

※SAPIO2012年4月4日号

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