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カキ等の養殖オーナー募る被災地漁師 「命を投げ出してやる」

 震災で壊滅状態だった宮城県石巻市雄勝地区で復活を図る漁師たちがいる。合同会社「オーガッツ」社名は、地名とガッツ(根性)にちなんだ。全国の消費者を支援者とする「新しい漁業」を模索している。

 水を張ったバケツから、濃緑に輝く海藻が取り出される。「ほれ、メカブ採れたから」と、同社代表・伊藤浩光氏が通りかかった住民に手渡している。昨年10月に海に入れて以来、人に配れるまでに成長していた。

「震災から、いまだに息つく暇はないよ」。そう語る伊藤氏は、家も養殖施設もすべて流された。同地区は津波で200人以上が犠牲になり、住民は被災前の2割ほどの約1000人に減った。疲れがないと言えば嘘になる。それでも「1回死んだと思ってるから。命を投げ出してやる」。気付けば合同会社設立に向けて動いていた。

 地元漁師や東京出身のボランティアら10人超で牡蠣、帆立、ホヤなどの共同養殖・販売を展開。「そだての住人」と名付けた養殖オーナーを全国から1口1万円で募り、その資金で地元の漁師から新鮮な魚介類を購入し、オーナーに還元する。さらにオーナーにも養殖・収穫作業への体験参加を呼びかけることで観光の要素をプラス。雄勝地区全体の交流人口の拡大も狙っている。

 道は平坦ではなかった。「詐欺じゃないか」と面と向かって言われたこともある。事業そのものを見直そうとしたこともある。そのたび、仲間が集まり、計画は現実味を帯びていった。

「震災前から高齢化で漁業は深刻だった。被災後どのみち苦労するなら、一歩でも進んだ漁業がやりたかった」と、同社に参加した末永陽市氏は言う。

 8月の設立以来、今年度の目標2000口を達成した。来年度の目標は10倍の2万口。事業を軌道に乗せるため「今からアイデアを絞っている」(伊藤氏)。逆襲はこれからだ。
 
※SAPIO2012年4月4日号

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