国内

企業の内定者拘束 若者への「風俗接待」離れ進むと人材専門家

 就職氷河期の現代では想像も出来ないことだが、バブル時代には内定者を拘束するために風俗接待があったという。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が、その羨ましくも? 驚くべき実態について語る。

 * * *
 私、「若者の○○離れ」という表現を聞く度にいつも首をかしげてしまいます。たいていは若者のことを誤解していたり、ある型を押し付けていたりするものですからね。「○○離れ」と言いつつ、今の若者の生活スタイルや持っているお金からすると、そもそもくっついたことなんかなかっただろうと言いたくなることもあります。若者のクルマ離れが象徴的ですね。そもそも80年代、90年代は欲望が作られていて、メディアに踊らされ、しなくてもいい消費をさせられていたとも言えます。今ならより安いお金で楽しく暮らせますからね。

 やや話は飛躍しますが……。しかも、下世話な話ですが……。採用活動の現場では、内定者接待における「風俗離れ」が顕著です。

 80年代後半、バブルの時期には3S接待というもの存在しました。3Sとは、寿司・ステーキ・ソープランドの頭文字をとったものです(寿司&ステーキ、サウナ、ソープランドの略だという説もあります)。内定したらまさに酒池肉林。ソープにもいけるというわけです。

 前に北方謙三先生について無駄に熱く語ったときもそうでしたが、ここで言うソープとはイアンではなく、ランドです。ソープはやや極端かもしれませんが、豪華接待というのは当時、よくありました。現在、旅行代理店の取締役になった方によると、就活中にヘリで東京上空の夜景を楽しみ、「ヘリはいいから、社員の話を聞きたい」と言ったら、次の日はバニーガールが出てくる店に連れていかれたという……。

 羨ましすぎます。就職氷河期と言われた90年代でも一部の企業ではキャバクラ、ランパブくらいには連れて行っていました。もっとも、IT企業に勤める京都大学卒の男性によると「人事にソープに連れて行ってもらったけど割り勘で自腹だった。お金を借りてあとで会社に届けにいった」と語ります。いやはや、単なる連れ風俗ではありませんか。

 最近、企業にも新人が入社してきましたが、90年代くらいまでは配属された新入社員を風俗に連れて行くという儀式があったものです。ある大手企業の中国支社では初任給が出た日に必ず、新人を連れて出かけるという恒例イベントがありました。うーん、入社式ならぬ発射式ですな、こりゃ。

 内定者風俗接待にしろ、新入社員歓迎風俗にしろ、減少傾向なのは店舗型風俗店が減ったこと、企業や先輩社員のお財布事情、コンプライアンス意識が高まっていることなどが影響していそうです。デリバリー型では一体感が醸し出せませんからね。もっとも、若者が風俗離れをしているかどうかは深い検証が必要でしょう。

 ピンサロのメッカ、高円寺で密着観察したところ、さすが学生街だけあって、お店には学生がしょっちゅう出はいりしておりました。プロ野球が開幕しただけあって、夜のボールとバットも絶好調ですな。風の谷のナウシカならぬ、「風の俗のカモっすか」という感じですな。お後がよろしいようで。

 それにしても、就活と風俗がつながっていた時代があるとは平成生まれには驚きですね。羨ましいですか?

関連キーワード

関連記事

トピックス

昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
1年時に8区の区間新記録を叩き出した大塚正美選手は、翌年は“花の2区”を走ると予想されていたが……(写真は1983年第59回大会で2区を走った大塚選手)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈3〉元祖“山の大魔神”の記録に挑む5区への出走は「自ら志願した」
週刊ポスト
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン