国内

問い合わせ殺到“缶詰バー”「3年間で50店舗も夢じゃない」

「缶詰で一杯」の魅力を再発見したフランチャイズの缶詰バーが人気だ。「京都のだし巻き」「大阪の土手焼き」ほかオリジナル商品が続々登場し、連日満員御礼だという。社長29歳、社員25人の平均年齢は20代という若き会社の成功の秘密に作家の山下柚実氏が迫った。

 * * *
 熊にアザラシ、鯨に鹿。と言ってもここは動物園じゃありません。北は北海道のシャケから南は沖縄のスパムミートまで、全国の味覚を楽しめる。と思ったら「国内」だけじゃなかった。フランスのビストロサラダに、ブラジルのドブラジンニャ? 聞いたことも無い料理名だが、缶の中に豆と肉の煮込みが詰まっている。めくるめく世界味紀行が楽しめる、ここは『mr.kanso(ミスターカンソ)』。ズラリと缶詰が揃うバーだ。

 中でも存在感が際立つのは、「京風だし」の文字が並ぶ黄色い缶。世界初の缶詰らしい。中からふっくらした「だし巻き」が本当に出てきた時には、缶とのミスマッチに笑いがこぼれた。

「缶詰で一杯」と聞けば「オヤジのコップ酒」を連想していた私。でも、このバーはちょっと違った。遊び心溢れた品揃えに、ポップな内装。そんな個性的な缶詰バーが首都圏を中心に増えているのは、ご存じでしょうか。2011年1月、東京1号店が神田に誕生して以来、西新宿、渋谷、浅草、田町と増殖中。今年に入ってからも埼玉・大宮、吉祥寺とオープンが続く。

 缶詰バー「ミスターカンソ」、その魅力とは何か。さっそく蓋をこじ開けて、中味を賞味してみよう。

「だし巻き缶は、京都の老舗・吉田喜(よしだき)と共同開発したオリジナルです。発売から2か月間で3000個以上売れ、おかげさまで大好評なんです」とミスターカンソを運営するクリーン・ブラザーズ取締役の川端健史氏(26)はニコッとした。こんなに若い人が回している会社なのか、と驚く。社員25名の平均年齢は20代、兄の社長も29歳。

「オリジナル缶詰の第2弾は大阪の土手焼きを準備中。今年中に10種類まで増やす予定です」

 大人気のだし巻き缶詰だが、店内でしか食べられないところがミソだ。

「小売店やスーパーからもたくさんお問い合わせがありますが、店での販売に限定しています。というのも、お店のオーナーを応援するためのブランド戦略なので」

 つまり、オリジナル缶詰とは、「店に足を運んでもらう」ための武器なのだった。

 2002年、大阪に誕生した「ミスターカンソ」。当初は関西エリアの直営店のみだったが、父から経営を譲られた若き兄弟経営者が、フランチャイズ展開に着手した。

 今は首都圏を中心に月100件を超える問い合わせが殺到中。なぜこんなに注目されているんでしょう?

「一言でいえば、開店の手軽さだと思います」と川端氏から明快な答えが返ってきた。

「店は8坪程度から開店可能で、資金は加盟料を含めて約300万円。私どもへのロイヤルティ料は月5万円のみですが、缶詰やお酒の仕入れから経営までサポートします」

 缶詰ゆえに、食材の管理は簡単。温めるだけで調理しないのが原則だから、本格的な厨房もいらず衛生面も心配なし。一人で営業できて食材のロスが少なくてランニングコストに悩まない。徹底的なローコスト・ローリスク経営なのだ。

 その代わり、同社では350~400種類の缶詰を、メーカーから直接仕入れるルートを確立している。珍しい缶詰、面白い缶詰がズラリと店頭に並び、口コミで広がり、集客力に。そもそも「ミスターカンソ」という名前は、「缶詰の倉庫」からつけたとか。

「フランチャイズを始めた時は、団塊世代が退職金で開店するといったパターンを想定していたのですが、実際には30代のオーナーが圧倒的に多いんです」

 時代背景もあるのだろうか、独立開業志向の中堅世代に響いた。「このペースで行けば3年間に50店舗も夢ではない感触」という。

※SAPIO2012年4月25日号

トピックス

お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト