国内

孤独死で腐乱死体になりたくない人は新聞を取るべきとの指摘

 東京都の調査では、1世帯当たりの平均人数が1.99人となり、過去最少を更新(今年1月1日現在)。総人口に占める65才以上の人口の割合は20.76%で、こちらも過去最高を更新した。家族に囲まれて看取られることなく、ひとりで死ぬことは、いまや普通のことになりつつある。

 人はなぜ、孤独死を恐れるのだろうか? 立教大学現代心理学部教授で精神科医の香山リカさんはこう分析する。

「“孤独死するかも、と考えると不安で眠れない”とクリニックにいらっしゃる人もいます。特に日本人の場合、畳の上で死ぬとか、大往生を家族に看取られるという、ある種の理想の死に方が刷り込まれていますから、それ以外の死に方が人生そのものの失敗だと思いがちなんです」

 特に女性の場合、自分の遺体が何日も発見されないことを心配する人も。

「死に顔が美しいとか、眠っているような死に顔といわれるように、死んでからも美しくありたいという考えはあるでしょうね」(香山さん)

 ノンフィクション作家の松原惇子さんもこう話す。

「ひとりで死ぬのは構わないけれど、腐乱死体になるのは避けたい、と本気で話す人はかなりいます。だったら、死後3日以内に発見される工夫をすればいいんです」

 その工夫とはどのようなものなのか。

「まずは、新聞をとること。ドアポストに3日も新聞がたまっていれば誰かがおかしいと思ってくれます。配食サービスを受けたり、サークルに参加したり、ヘルパーさんを頼むのも手。とにかく、定期的に自宅を訪れてくれる人を作ることです。人とのかかわりを絶やさないこと――これは楽しく生きることでもありますからね」(松原さん)

 香山さんも孤独死を必要以上に恐れる必要はない、と話す。

「死ぬ瞬間からさかのぼって人生を考えるのは間違っています。いまこそが人生なんだから、なるべくいまを楽しく生きるべき。以前診察したある女性は、“大原麗子さんがうらやましい”といっていました。“好きなように生きて、死ぬときでさえ自分で好きな時期に死んだわけでしょう。自由そのものじゃないですか”って。もしかすると孤独死こそ、何もしがみつかず、何もかも解放された、究極の“自由死”ではないでしょうか?」

※女性セブン2012年5月3日号

関連キーワード

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン