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扇風機新商品で家電メーカーの将来性が占えると女性作家指摘

 昨年から大ブレイク商品となった扇風機、今年のポイントは大きく2つだという。まず、エネルギー効率の高い「DCモーター」を採用しているか。もうひとつ、いかに心地よく自然に近い風が再現できるか。各社が鎬を削るが、各家電メーカーの取り組みにより、その企業の将来性が透けて見えると、作家で『五感のチカラ』著者の山下柚実氏は指摘する。以下は、山下氏の視点である。

 * * *
「終わった」家電と思われていた扇風機が、去年から今年にかけて大ブレイク。家電量販店の店頭に行くとびっくり。大量の扇風機が、しかも2~3万円という高価格帯でズラリ並ぶ……。いったい誰が予測したでしょうか?
 
 福島原発事故による節電需要の影響で、急遽、脚光を浴びている扇風機。それは時代を映す鏡です。家電各社がどんな扇風機を出しているかを見れば、その企業の立ち位置と、先行きとがわかると思えるほど。
  
 今年の扇風機のポイントは大きく2つ。まず、エネルギー効率の高い「DCモーター」を採用しているか。「DCモーター」は従来の交流モーターとは異なり、低速で回転できる直流型。消費電力がぐんと下がると同時に、これまでできなかった「超微風」「静音」が可能になる、という点が大注目です。
 
 もうひとつは風の質。いかに心地よく自然に近い風が再現できるか。ファンの形も進化しています。ファンの内側にもうひとつファンを付けた二重構造、8枚羽、チョウチョの羽を模した形態、羽そのものを無くしたモデル……実に斬新な商品が次々に登場して注目を集めています。
 
 こうした新商品の先鞭をつけたのが、ご存じ、バルミューダの「グリーンファン」。長時間当たっていても不快ではない自然に近い風を追求し、ファンを二重構造に大変身させ、世間をあっと言わせて昨年から大ブレイク中です。

 小さな企業が切り開いた扇風機の革命に、大手家電メーカーが追随する構図になっているのです。その他にもツインバード、山善、ドウシシャなどの中小メーカーがいち早くDCモーター搭載の扇風機を発売し、夏商戦に殴り込みをかけています。

  さて、ビックカメラの省エネ扇風機・売れ筋ランキング(集計期間5月1~23日)を見てみましょう。1位と4位は、そのバルミューダ製が占めています。2位が東芝、3位と5位がシャープ。もちろん、すべてDCモーターを採用した機種。

 風の質については、東芝が「穂高連峰からおりてくる信州上高地に吹く心地よい風を計測して、先進の技術で再現した」。シャープは、「生物模倣」という切り口でチョウチョの羽を模し、加えてお家芸の「プラズマクラスター」のイオン発生ユニット付き。

  驚くのは、家電王? のはずのパナソニック。なんと、今年の扇風機のラインナップに「DCモーター」を採用した商品がないのです。旧来型のモーターを搭載したまま、しかも風の質については「1/fゆらぎ」をうたっています。「1/fゆらぎ」って、ずいぶん昔に聞いた言葉では? ちょっと出遅れ感が否めません。

 たかが、扇風機、されど扇風機。家電メーカーも苦闘の時代。最先端の技術研究や最新鋭の生産設備に支えられている商品ばかりが、売れ筋ではないはず。 

 新しい要素を素早く取り込む小回りの良さ。消費者の感覚に併走するしなやかなアイディア。両方をあわせ持たないと生き残っていけない時代。今年の扇風機のラインナップは、そうもの語っているようです。
 
  過去最大の赤字を出し、危機に直面しているパナソニック。来年、どんな高機能扇風機を出して起死回生するのか、注目しましょう。

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