ライフ

「マザコンは進化的にみると仕方ない」と脳科学者・澤口氏

 友達みたいな「母と娘」が増えているというが、生物学的、あるいは脳科学的に、何か理由はあるのだろうか? フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が解説する。

 * * *
 最近、テレビや雑誌で母と娘の関係をめぐり、「友達母娘」や「母との関係がしんどい」などの企画をよく目にする気がします。これはある意味、実によい着眼点だと思います。なぜなら、他の親子・家族関係と異なり、母と娘の関係はかなり独特なものだからです。

 例えば、子供は、携帯電話から母親の声を聞いただけで、「親和性ホルモン」と呼ばれるオキシトシン(体内にも脳内にもあります)が増え、親和性や安心感が高まります。オキシトシンは、信頼や愛情にかかわる“愛情ホルモン”として知られており、分泌が高まると信頼も強まることが明らかになっています。

 男女ともに存在しますが、霊長類では「母娘ボンド(「結合」の意)」というくらいに関係が密接な娘のほうが、母親の声を聞いたときにより強く影響を受けるということがわかっています。

 こうした、母-娘における独自の関係性は、結婚に関しても大きな影響を与えます。これは、人間が進化の過程で獲得してきた、親族組織を中心とした共同体社会について考えれば明らかです。

 文明社会における人類の「結婚」とは、その多くが、女性(娘)が氏族(家族が複数集まった社会)を出て、他の氏族の男性(息子)に嫁ぐという形態です。

 この、“メスが自分の群れから離れ、他の群れにはいる”という行為は、ヒトにもっとも近い動物であるチンパンジーでも同様です。つまり、女性が自分の家族から離れ、距離的にも精神的にも遠い他の家族のメンバーになるという行為は、ヒトが進化し、社会が発展する過程で得てきた形式なのです。

 この婚姻形態の場合、息子は自分の生まれた氏族に留まるのが基本ですから、母-息子関係は母-娘関係より長く継続します。つまり、「母息子密着型(過度な場合、マザコンといわれる)」は、進化的にみると「仕方がない」という側面があります。

※女性セブン2012年7月26日号

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン