国内

公務員の政治参加はなぜ問題か 橋下市長ブレーン原英史氏解説

 橋下徹・大阪市長の改革では、公務員の政治活動参加をどう制限すべきかが大きなテーマになっている。だが、実はそうした大阪の改革にあたって「国の仕組み、規制=法律」が壁になることがままある。橋下市長を支える府市特別顧問の原英史氏が解説する。

 * * *
「役所ぐるみの選挙」の問題は根深い。役所の職員が本業そっちのけで選挙に熱中してしまうといったことももちろん問題だが、より構造的な問題もある。知事や市長が選挙の時、部下にあたる職員たちのお世話になるとしたら、何が起きるか。

 平素仕事をする時も、部下に頭が上がらなくなる。つまり、役人の言いなりで、リーダーシップを欠く知事・市長が生まれてしまう。上司の威令が組織内に及ばなければ、組織内の規律は劣化し、仕事の成果もあがらない。

 大阪市の場合、数年前から、不適切な労使関係や、多発する職員の不祥事などが指摘されてきた。労使交渉のガイドラインを整備するなど、個別の対処はそれなりになされてきたが、いつまで経っても問題が消えない。その要因はやはり、この「役所ぐるみの選挙」だったのでないかというのが、前々号で紹介した野村修也氏(中央大学法科大学院教授)ら第三者調査チームの見立てだった。

 こうした問題認識のもと、大阪市において、条例による規制強化が検討されているわけだが、ここで出てくるのが「法律の壁」だ。

 一部の新聞記事でも、「地方公務員法が禁じていない部分まで条例が勝手に政治活動を縛るのは反則技だ」といった識者の意見が紹介されていた。法律上で「罰則は定めない」としているのに、一自治体が条例で「罰則を定める」としてよいのか、といった点が問題となるわけだ。

 法律と条例との関係は、学問上も実務上も争いのある領域で、一筋縄ではいかない。そこで筆者は、大阪市特別顧問の立場で5月末、市職員と一緒に総務省の担当課を訪ね、市からの質問状を渡してきた。「条例で国に準じた規制をすることが認められるか」といった内容だ。ちょうど本誌のゲラが刷り上がるタイミングで、市への回答があったようだが、この件は、また改めてご紹介したい。

※SAPIO2012年7月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン