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外資コンサル最高峰のマッキンゼー辞めて実家を継ぐ人もいる

 外資系企業を目指す学生にとって最高峰に君臨する企業のひとつが、コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーだ。大前研一氏、勝間和代氏など多彩で優秀な人材を輩出してきたことでも知られている。だが「マッキンゼー卒」は起業するばかりではない。実家を継いだ例もある。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏がキャリアの多様性について考察する。

 * * *

 皆さんは「人材輩出企業」と聞いて、どんな企業を思い浮かべるでしょうか?よく名前が出てくるのはリクルートですね(人材“排出”企業という説も根強いですが・・・)。

 同様に、いやそれ以上に人材輩出企業として知られているのは、外資系コンサルティング会社のマッキンゼーでしょう。元日本支社長であり経営コンサルタント、ビジネス・ブレークスルー代表の大前研一氏を始め、経営コンサルタントの波頭亮氏、早稲田大学大学院教授の川本裕子氏、DeNA創業者の南場智子氏、オイシックス社長の高島宏平氏など、数々の人材を輩出しています。経済評論家の勝間和代氏、ベストセラー『武器としての決断思考』(星海社)で知られる瀧本哲史氏なども元マッキンゼーです。

 東大の院生などは外資系を目指す学生が多いわけですが、その中でもマッキンゼーは別格の存在です。最高に優秀な先輩たちと一緒に高度な課題に向き合う過程で徹底的に課題解決の方法を叩きこまれるわけです。ここで得た経験・スキルを元に、起業家や社会起業家を目指したいという若者をよく見かけます。

 さて、起業家や評論家になることだけがマッキンゼー出身者の進路なのでしょうか? もちろん違います。元マッキンゼーは、普通の企業に転職し、経営者の片腕として活躍している例をむしろよく見聞きします。

 そして・・・。意外かもしれませんが、中には「実家を継ぐ」という選択をする方もいるのです。

 有名な事例といえば、タクシー会社である日本交通株式会社の代表取締役社長の川鍋一朗氏です。彼はマッキンゼーを経て実家であるこの会社を継ぎました。専務、副社長を経て社長となり、2000億円近い赤字を抱えていた同社の再建に取り組みました。そのストーリーは『タクシー王子、東京を往く。―日本交通・三代目若社長「新人ドライバー日誌」』(文藝春秋)という本にまとまっています。よくメディアでも取り上げられましたね。

 もう1人ご紹介しましょう。鹿児島県枕崎市にある中原水産株式会社を継いだ同社常務取締役の中原晋司氏です。彼は新卒でマッキンゼーに入社。その後、1社を経て、実家である同社に就職。同じタイミングでお兄様も専務取締役になりました。

 枕崎で水産加工業を営む同社。中原氏は不採算事業の問題などに取り組んだ後、「新しい軸となる商品をつくる」ことを決意。「かつおせんべい」という商品を作り出しました。ベタな名前の同商品ですが、かつおの味が受け、また九州新幹線が鹿児島まで伸びたことも追い風となってヒット。鹿児島の新名物となり、県知事からの賞も受賞したとか。受験生の応援グッズとしても人気だそうです。マッキンゼーから水産加工業。大きな転身ですが、大きな成果が出ていて痛快ですね。

 元マッキンゼーの進路も実に色々です。それにしても、実家を継ぎ、新たなビジネスを立ち上げる。これもひとつの選択肢ですね。キャリアの多様性について考えました。はい。

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