国内

ローソンが走りファミマ追う「コンビニからあげチキンレース」

コンビニのレジ横でアツいからあげ

 この夏、コンビニで一番ホットなスペースはどこか。レジ横にあるホットスナックのコーナーである。だが夏だからという理由でもなければ、「ホットスナック」だからでもない。からあげを巡って、アツいバトルが各コンビニ間で行われている。各コンビニがからあげ名店の監修をうけ、新作を続々と送り込んでいるのだ。食と料理に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
 先鞭をつけたのは、ローソンだ。2011年6月に同社の看板ホットスナック「からあげクン」で、日本唐揚協会の監修により大分県・宇佐市の「宇佐しょうゆダレ味」を発売。同年に「名古屋手羽先ダレ味」、「中津しおダレ味」と立て続けに、名物からあげの味わいをホットコーナーに持ち込んだ。

 2012年もローソンの攻勢は続く。同じく「からあげクン」で5月に「北海道ザンギ(醤油味)」を発売した後、「からあげグランプリシリーズ」として、日本唐揚協会の「からあげグランプリ」金賞受賞店監修の味が7月から続々登場。「名古屋鳥開監修・甘辛胡麻味」「埼玉インどり屋監修・醤油せんべい味」「埼玉光苑監修・海鮮塩ダレ味」などを次々と投入した。さらにレギュラーラインの「からあげクン」のほか、5月に1個45円の単品売り、「鶏から」を発売。他にも「Lチキ」なども含め、ローソンのレジ周りにおけるホットスナックの存在感は尋常ではない。

 まさにローソンの独壇場になるかと思われた今年、追走者が現れた。「ファミチキ」など、ホットスナックに力を入れていたファミリーマートが、大分・中津に本店を置く名店「もり山」の監修による「からあげ」を5月末に発売したのだ。これには本当に驚いた。複数のコンビニチェーンが「××監修」のホットスナックを商品化するなど前代未聞である。

 実はここまで紹介した商品は、すべて監修元の店舗で口にしたことがある。いずれも驚くほどよくできている。もちろんまったく同じではないが、本店の味を想起させる味わいとなっているのだ。

 そしてこのからあげチキンレースに、7月から参戦したのが「デイリーヤマザキ」。大分県・中津から「げんきや」「鳥しん」「からあげ屋チキンハウス」など、「聖地 中津からあげの会」に加盟する、からあげ専門店数店が参加している。しかも監修したからあげをホットスナックに送り込むだけでなく、「おむすびからあげ」や「からあげ弁当」など惣菜への展開も見せている。

 マルハニチロホールディングスが7月5日~7月9日の5日間で行った『コンビニエンスストア利用実態調査』で「つい衝動的に買ったり、利用したりすることが多いもの」で堂々の30.7%を獲得し、第3位に食い込んだホットスナック。ローソンに至っては、Web上で「からあげ文化研究所」まで立ち上げ、日本だけでなく中国の文献まで漁っては、からあげの歴史をひもとき、中国の「鶏のからあげの原型」レシピまで再現している。

 今後、このチキンレースは他のコンビニチェーンを巻き込むなど、さらにアツく展開するのか、はたまたまったく違う展開を見せるのか……。そろそろコンビニにも、おでんや肉まん・あんまんなど、他の「ホット」も参入してくる。アツい季節は終わらない。


関連キーワード

関連記事

トピックス

ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
プーチンと面会で話題の安倍昭恵夫人 トー横キッズから「小池百合子」に間違われていた!
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
NEWSポストセブン