国際情報

香港の風水信仰 46階建てビルでも最上階は縁起よい「88」階

 大企業の経営者や幹部には、風水をたしなむ人が多い。風水とは、成功のために必要な環境を整理する「統計的学問」だからだ。とりわけ中国では、風数で世界が回っている。現代風水師で九州風水研究所を主宰する未知氏が、中国の状況を解説する。

 * * *
 生活の中に風水が浸透する中国では、結婚、引っ越し、起業など人生の転換期に風水師の助言が不可欠。多くの大企業は高名な風水師と専属契約を結び、さまざまな場面で助言を求めています。

 こうした習慣は自治体や官公庁にも根付き、ときに社会問題になることも。遼寧省瀋陽市陽市では、裁判所の新庁舎移転の日取りを風水師に相談。鑑定料3万元(約42万円)を公費で支払ったことが問題化し、幹部が辞職に追い込まれました。

 香港の風水信仰はさらに過激で、企業間のバトルに発展することも。有名なのが、長年ライバル関係にある中国銀行と香港上海銀行の“新社屋バトル”です。香港中心部に並んで建つ両行は、専属風水師の助言の下、1985年から1990年にかけて競うように新社屋を建設。先に竣工したのは、地上44階建ての香港上海銀行。対する中国銀行は、5年遅れで地上70階を誇る超高層ビルを建設しました。

 問題となったのは、中国銀行新社屋の“鋭利な刃物”を連想させるデザイン。風水で「不吉」とされるビルの鋭角部分を向けられた香港上海銀行は怒り、屋上に“大砲型”オブジェを設置して対抗。この一件は地元メディアでも大きく報じられました。

 香港市民は住宅購入にも風水環境を重視。気の流れを乱すT字路の突き当たりに面した物件や、広東語で「死」と似た発音の「4」の階数は敬遠されます。ある新築高級マンションは、4・14・24などの階数表記を除外。実際は46階建てなのに、最上階は最も縁起の良い「88」階と表記されています。

 台湾自慢の高層建築「台北101」も「8」にちなんで、逆台形を8層に重ねた奇抜なデザインを採用。力強く天に向かって伸びる“竹”をイメージして作られました。

※週刊ポスト2012年9月7日号

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン