国際情報

韓国の領土PRは精神と肉体極限に鍛えた選手の美を台無しにした

 ロンドンオリンピックの男子サッカーの3位決定戦・日韓戦で韓国選手が、島根県の竹島について「独島はわれわれの領土」と書かれたボードを掲げ、フィールドを駆け回った。このオリンピックの精神に著しく反する行為について作家の落合信彦氏が問題の本質を抉る。

 * * *
 周知の通りオリンピック憲章は競技会場での政治宣伝活動を一切認めていないし、竹島問題については韓国政府が間違った主張をしてきたことは明らかだ。しかし、今回の韓国選手の所業はそうした次元の話ではない。

 これは「品格」の問題だ。オリンピックには人間の品格と美しさがあるべきだ。理想主義かもしれないが、夢や理想なき現実を生きて何の意味があるのか。現実を直視しながらも、理想を忘れてはならない。

 今回のロンドンでも、美しいシーンはあった。試合に敗れた選手が勝者に握手とハグを求め、勝者は敗れた者の手を取って高々と天に向かって掲げるそんな場面が確かにあった。その光景は、韓国選手の幼稚な行為とは対照的に美しかった。高い精神性に基づいた人間の善は美しいものだ。逆に、敗れた相手を嘲笑うかのようなパフォーマンスは最も醜い。

 精神と肉体を極限まで鍛えたその道のエキスパートたちの美しいシーンを、韓国選手の自己中心的な行為が台無しにしてしまった。数年後、人々がロンドンの記憶として呼び起こすものがサッカーの3位決定戦後のパフォーマンスだとすれば、失われたものはあまりに大きい。

 スポーツは子供たちに夢を与える。だからこそ、選手は尊敬に値する品格あるロール・モデルでなくてはならないし、そうしたアスリートが純粋に競い合う場所がオリンピックでなくてはならない。

 IOC会長のロゲは厳正に処分すると表明した。当然のことだ。これはオリンピックの、スポーツの根源にかかわる問題である。

※SAPIO2012年9月19日号

関連キーワード

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン