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ある才能が伸びると他の才能が発達しなくなると脳科学者分析

「真の天才」と言われる人は「一芸に秀でる」と語るのは、『ホンマでっか!?TV』でお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏。ここでは、天才画家と呼ばれた故・山下清(享年49)を脳科学的観点から分析する。山下清は卓越した記憶力や計算力、読書力などで知られる「サバン才能」を持つといわれている。

 * * *
 今回注目したいのは、サバン才能は他の脳機能を「犠牲」にしている傾向があるということです。

 こうしたことを脳科学的には「競争原理」といいます。ある才能に結び付いた脳内神経システムと他の脳内神経システムの間で競争が起き、ある才能が伸びると他の脳内神経システムがあまり発達しないというものです。

 その有名な症例に「ナディア・ケース」と呼ばれるものがあります。

 ナディアというイギリス人の少女は、3才ごろから天才的な絵画能力を発揮し始めました。そして、絵を習ったことはないのに、5才のとき、遠近画法を取り入れた独特な絵をいくつも描いたのです。その画風は「ナディア画風」と賞賛されました。

 彼女の才能は、典型的なサバン才能で、絵画系以外の脳機能が低かったため、言語に発達障害があり、8才ごろまでまったく話せなかったようです。心配した両親は、彼女に8才から言語習得の教育を受けさせました。すると、言語能力を獲得するにつれ彼女の絵画の才能が失われていったというのです。ナディアは会話はできるようになりましたが、その後二度と天才的な絵を描くことはありませんでした。

 ナディア・ケースは、言語の学習によって「左脳の専制」(主要な言語系が存在する左脳が脳を専制的に統括しているという意味)をわざわざ作ってしまい、競争原理が働いて、右脳の天才的な絵画的才能を失ったとみなせます。

※女性セブン2012年9月13日号

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