国内

潰瘍性大腸炎に苦しんだ安倍総裁 1日トイレ30回以上証言も

「今、私はすっかりおかげさまで、健康を回復させていただきました」

 9月26日、自民党総裁選に勝利した安倍晋三氏(58才)。当選後の記者会見では、自信に満ち溢れた表情で、不安視される体調について、こう語っていた。

 安倍氏は、これで2度目の自民党の総裁となるが、1度目は自民党が与党だった2006年9月のとき。51才と戦後最年少の若さで総裁に選ばれて、内閣総理大臣に就任した。だが、わずか1年後の2007年9月に突然の退陣表明。辞任会見ではその理由を、「テロとの戦いを進めていくには、局面を転換しなければならない」と語っていたものの、その顔はひどくやつれていた…。

 その後、「体調が悪化し、体力の限界を感じるに至り、もはや首相としての責任を全うし続けられないと決断した」と話したが、健康問題について詳しい言及はなくさまざまな憶測が飛んだ。

 翌年2月、安倍氏は雑誌に手記を寄せ、首相退陣の真相を初めて明らかにする。原因は、潰瘍性大腸炎という病気──潰瘍性大腸炎とは、厚生労働省が指定する“難病”のひとつだ。

「大腸に慢性的な炎症が起こる病気です。血便や下痢、腹痛といった症状が出ます。原因は不明ですが、ストレスが影響するといわれています」(鳥居内科クリニックの鳥居明院長)

 現在、国内で約12万人がこの潰瘍性大腸炎に苦しんでいるといわれるが、安倍氏がこの病気を発症したのは、17才の頃だった。前述の手記で、その時の衝撃をこう綴っている。

<激しい腹痛に襲われ、トイレに駆け込んだところ、夥しい量の下血があり、便器が真っ赤に染まったのです>

 この病気の最もつらい点は、頻繁に便意をもよおしてしまうことだという。そのため安倍氏は、どこに出かけても、必ず最初にトイレの場所を確認するようになった。

「この病気になってから、かれこれ40年、1日に30回以上もトイレに駆け込む日もあったようですね。夜中もトイレとベッドを往復する日々で、睡眠不足が続いた時期もありました」(安倍氏の知人)

 治療にはステロイド剤を使っていたが、副作用も強かった。顔がむくんだり、骨がもろくなるため、症状を完全に抑えるほど服用はできなかった。

 安倍氏は成蹊大学卒業後、3年間神戸製鋼でサラリーマンを経験。その後、元外務大臣で父の晋太郎氏(享年67)の秘書官となるが、1991年その父が急逝。2年後、父の地盤を受け継ぎ、38才で政界に進出する。

 そこで受けるストレスはサラリーマン時代とは比べものにならないほど大きなものだったようだ。そのためか、病気は悪化する一方で、ある新聞のインタビューでは、選挙中のこんなエピソードを明かしている。

<選挙カーをちょこちょこ止めてトイレに走ればまだいいんですが、それが無理な時は脂汗をかきながら我慢するしかなかった>

 それでも薬を使って、なんとか体調を整えながら、政治家を続け、前述のように2006年には内閣総理大臣に就任した。だが、この頃には、安倍氏の体は限界に達していたようだ。

「国会の本会議中や委員会審議で途中退席なんてできませんから、ステロイド剤もより強いものを服用するようになっていたようです。移動のときには、トイレ付きのバスを用意しなければならないほどにまでなっていたみたいですよ」(全国紙政治部記者)

※女性セブン2012年10月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
鳥取の美少女として注目され、高校時代にグラビアデビューを果たした白濱美兎
【名づけ親は地元新聞社】「全鳥取県民の妹」と呼ばれるグラドル白濱美兎 あふれ出る地元愛と東京で気づいた「県民性の違い」
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』(星海社新書)を9月に上梓したルポライターの松本祐貴氏
『ルポ失踪』著者が明かす「失踪」に魅力を感じた理由 取材を通じて「人生をやり直そうとするエネルギーのすごさに驚かされた」と語る 辛い時は「逃げることも選択肢」と説く
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン