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ゴミ捨て場から拾ったゴミに現金 届けないと刑事罰の対象に

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「拾ったゴミから現金発見。どのような対応を取ればよいでしょう」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 近所のゴミ捨て場にゴミを捨てに行ったら、書類袋や封筒などが捨てられていました。好奇心から拾って家に持ち帰り、開いてみると、書類に交じって一万円札が数枚出てきたのでビックリ! どうしたらいいのか、咄嗟の処置に困りましたが、この場合の適切な対応のアドバイスをお願いします。

【回答】
 誰でも不用品を捨て、また持ち出せるような状態のゴミ捨て場と考えて説明します。捨てられている物は、元の持ち主が所有権を放棄し、誰も占有していない動産です。

 所有者のいない動産は、無主物として、所有の意思を持って最初に占有する人が所有権を取得します(無主物先占)。ですから、書類袋や封筒を持ち出しても違法ではありません。しかし封筒に入った現金については、このようにはいえません。なぜなら、お金は捨てないのが普通だからです。

 紙幣は薄いので、封筒などに入れたことを忘れてしまうと、確認しない限り気がつかないで、不要の封筒とともに捨ててしまうことが十分に考えられます。その場合、封筒の持ち主は、封筒やその中にある手紙などを捨てる意思、即ち所有権を放棄する意思があっても、封筒内の紙幣については、捨てる意思がなかったと考えられ、紙幣は遺失物と解するのが常識的です。

 遺失物法では、遺失物の拾得者は速やかに警察に遺失物を提出する義務があります。届け出を受けた警察が公告して、3か月経っても落とし主が出なければ、あなたのものになりますし、持ち主が判明すれば5~20%の範囲で功労金をもらえます。もし提出を怠ると、遺失物横領という刑事罰に問われることになります。あなたが封筒を持ち出したときの目撃者がいるかもしれません。正直に届け出るべきです。

 ところで、好奇心から拾ったとのことですが、分かった情報などを不用意に漏らすと、名誉棄損やプライバシー侵害などになる可能性もあります。なお施設内のゴミ箱で拾った場合、拾得物は施設管理者に提出する義務があります。また、施設内のゴミ箱のゴミは本来、施設管理者の管理下にあり、持ち出しても、無主物先占にはなりません。注意してください。

※週刊ポスト2012年10月26日号

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