国際情報

尖閣国有化へ中国抗議 日本資本の医薬品に撤去命令が出ていた

 日本政府の尖閣諸島国有化を受け、中国各地では抗議行動が相次いだ。日本企業を苛む「チャイナリスク」について、経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。

 * * *
 日本政府の尖閣諸島国有化に対し、中国では未だに日本製品ボイコットや日本企業はずしなどの反日行動が続いている。

 今回、日本人は「チャイナリスク」が、かつてなかったほどリアルであることを痛感した。とくに日本企業は、中国が生産地としても市場としても観光業においても、淡々と事業が展開できる普通の国ではなく、政府の胸三寸で甚大なダメージを受ける国だということを改めて思い知った。

 たとえば、北京市では出版当局の指示によって大手書店の売り場から日本関係の書籍が姿を消したというニュースが話題になった。その後、村上春樹氏が事態を憂慮するエッセーを発表したこともあって、日本関係の書籍は再び店頭に並ぶようになった。

 しかし、日本ではほとんど報じられていないが、現実はもっとひどかった。私が聞いたところでは、中国国内の病院には「日本の独資(100%日本資本)の医薬品は全部撤去、合弁企業の場合は半分まで撤去せよ」という具体的な通達が出ていたのだ。

 日本の製薬会社は中国の病院を1軒ずつコツコツと回り、何十年もかけて薬を採用してもらってきた。その苦労が、政府の通達1本で一瞬にして、すべて水泡に帰したのである。いったん棚から撤去されると、政府が再び許可しても、完全に元に戻すのは難しい。このすさまじい徹底ぶりは、専横国家、独裁国家にしかできない。

 それを主導していたのが、中国共産党の次期総書記就任が確実視される習近平国家副主席だった。彼が2週間もの間こもっていたのは、尖閣問題の“プロジェクトマネージャー”として、報復策のアイデアを練るためで、今回の対処は総書記にふさわしいかどうかを見定める“習近平の肝試し”だったといわれている。ヒラリー・クリントン国務長官との会談をキャンセルしたのもアメリカに介入されることを嫌ったからだという。

※週刊ポスト2012年11月2日号

関連記事

トピックス

バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
ドラマ『Believe -君にかける橋-』で木村の妻役で初共演
初共演・天海祐希もハイテンションに! “木村拓哉の相手役”が「背負うもの」と「格別な体験」
女性セブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン