国内

一色正春氏 実効支配している尖閣に上陸できない事態止めよ

 中国は尖閣諸島周辺海域に多数の中国漁船や海洋監視船を送り込み日本の実効支配に対抗しようとしている。このままでは日本の実効支配はおぼつかなくなる。尖閣防衛はどうすべきか。元海上保安官の一色正春氏が提言する。

 * * *
 日本政府は尖閣諸島付近海域に海上保安庁の巡視船を数隻配備して実効支配していると公言しているが、今後はこの体制だけでは現状維持すら難しい。

 今はまだ日本の方が優位ではあるが、中国の反発を恐れて手をこまねいていれば、近い将来、現在量産中の海洋監視船「海監」や漁業監視船「漁政」により、日本の巡視船は圧倒されてしまい、事実上、中国が尖閣諸島を実効支配していることになってしまう。

 そうなる前に海上保安庁や海上自衛隊の装備の充実が必要だが、島の防衛も重要だ。ただし、ただ単に尖閣諸島に陸上自衛隊を駐屯させるというのは早計である。先の大戦で離島の制空権と制海権を失った結果、多くの守備隊が食料や弾薬の補給を得られず玉砕という運命をたどったことを忘れてはならない。

 現在、尖閣諸島にいちばん近い自衛隊の基地は宮古島だが、レーダー部隊しかおらず本格的な戦闘部隊は沖縄本島の那覇にしかない。まずは石垣や宮古などに実戦部隊や補給基地を設置し、あわせて法整備を行ない、いつでも尖閣に駆けつけることができる体制を整えることのほうが現実的である。

 その上で、島の環境調査や環境保護などの理由で定期的に日本人が島に上陸すべきである。周りの海に日本漁船が戻り、島に誰もが上陸できるようになれば島を有効的に使う道も見えてくるであろう。実効支配している島に誰も上陸できないというおかしな話は、そろそろ止めにしなければいけない。

 中国が、あれほど日本人が上陸することを嫌がるのは自分たちが攻めにくくなるからだ。逆に言えば、常駐しなくとも日本人が定期的に上陸するだけで中国を牽制できるのである。そうでもしないと、尖閣諸島が早晩中国に占領されてしまう可能性が高いことは、南シナ海の例を見れば容易に予想できる。

 中国が狙っているのは尖閣諸島だけではない。その先にあるのは東シナ海全体であり沖縄だ。本来、日本が争うべき場所は尖閣諸島ではなく、日中中間線付近のガス田だ。そのためには日本も早急に試掘を始め、ガス田開発に本腰を入れるべきである。

※SAPIO2012年11月号

関連キーワード

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン