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【ドル円週間見通し】地政学的リスクで下げ渋る展開の予想も

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、12月10日~14日のドル・円相場の見通しを解説する。

 * * *
 今週のドル・円は、16日の総選挙の結果待ちとなること、10-22日に予定されている北朝鮮のミサイル発射による地政学的リスクにより、下げ渋る展開が予想される。ドル安・円高要因としては、連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和策が打ち出された場合、米国の「財政の崖」に関する協議が難航した場合などが想定される。

【米国の「財政の崖」協議】
 オバマ米政権と共和党指導者の間で、実質的な期限である12月23日までの決着を目指して「財政の崖」に関する協議が行われており、財政の崖が回避される可能性が高まれば、ドル買い、難航した場合は、ドル売りとなる。財政の崖を回避することが困難な状況となった場合、緊急の連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されて量的緩和第3弾(QE3)の増額、量的緩和第4弾(QE4)の導入が決定される可能性が高まることで、ドル売りに拍車がかかる可能性に要注意となる。

【日本・10月国際収支】(10日)
 日本の9月の経常収支は、季節調整後で-1420億円の赤字を記録しており、10月の経常収支(季節調整後)は+2305億円と予想されているものの、黒字幅が減少していた場合は、円売り要因となる。

【日本・7-9月期国内総生産(GDP)改定値】(10日)
 日本の7-9月期国内総生産(GDP)改定値は、前期比年率-3.4%と、速報値の-3.5%からはやや上方修正が予想されている。しかしながら、12月調査の日銀短観の悪化が予想されていることで、2四半期連続してマイナス成長を記録するリセッション(景気後退)に陥る可能性が高まっている。

【連邦公開市場委員会(FOMC)】(11-12日)
 連邦公開市場委員会(FOMC)では、年末に終了するツイストオペ(Operation Twist)第2弾(月450億ドルの米国債購入)の代替措置として、量的緩和第3弾(QE3)(月400億ドルのモーゲージ担保証券(MBS)の購入)の増額か、量的緩和第4弾(QE4)が導入される可能性が高まっている。

【米系企業のリパトリ(外貨建て資産売却・ドル買い)】
 米系企業は、12月決算に向けて海外の利益を米国へ送金する取引、リパトリ(外貨建て資産売却・ドル買い)を行うため、ドルの底値は堅い展開が予想される。

【テクニカル分析】
 ドル・円相場は、75円32銭を頭とする「逆ヘッド&ショルダーズ」を形成しており、ネックラインを上抜けた場合、9.40円程度の上昇が予想される。

 今週のネックラインは、83円12銭から83円10銭で推移しており、上抜けた場合は、目標値92円50銭処が点灯する。ネックラインを上抜けた場合、これまでのレンジ75円-85円が、85円-95円に移行する可能性が高まることになる。

 今週発表の主要経済指標のポイントは次の通りとなる。

○(米)10月貿易収支 -- 11日(火)日本時間午後10時30分発表
・予想は、-423億ドル
 10月ISM製造業の内訳「輸出受注」DIは48.0←9月48.5、「輸入」DIは47.5←同49.5
で、輸出入とも低下しているが、輸入DIの低下幅が大きいため、赤字縮小要因。また、10月原油価格に大きな変動はないが、低下していることから赤字縮小要因。市場予想は-423億ドルだが、9月415億ドルの赤字から赤字幅がやや縮小してもおかしくない。

○(米)11月小売売上高 -- 13日(木)日本時間午後10時30分発表
・予想は、+0.3%
 参考指標の10月ICSCチェーンストア売上高(ウォルマート除く)は、前年比+4.4%で9月と比較で増加している。11月のガソリン価格は前月比-7.63%程度でガソリン・スタンド売上の下落要因。自動車販売台数は前月比+8.2%程度。チェーンストア売上高の上昇で上振れリスクも。

○(米)11月消費者物価指数 -- 14日(金)日本時間午後10時30分発表
・予想は、全体の数字は、前年比+2.0%、コアは、同比+2.0%
 11月のガソリン価格は前月比-7.63%程度(季調済み)で、CPI全体には10月からの押し下げ要因となる。コアの部分では、先行指標となるPPIの発表を待つ必要があるが、PPIは前月比で低下、前年比では+1.8%と予想されており、コンセンサスは妥当か。

○(米)11月鉱工業生産 -- 14日(金)日本時間午後11時15分発表
・予想は、0.2%、設備稼働率は、77.9%
 11月ISM製造業の「生産DI」は53.7と10月52.7から上昇。鉱工業生産の大幅な改善は見込めないが、増加の公算。参考指標となる10月雇用統計の総労働時間では、鉱業が減少、製造業は微増、公益は減少しており、設備稼働率については、下振れリスクに留意する必要がある。

 主な予定は、10日(月):(日)10月経常収支、(日)7-9月期実質国内総生産改定値、11日(火):(米)10月貿易収支、12日(水):(日)10月機械受注、(米)連邦公開市場委員会会合(FOMC)、13日(木):(米)11月小売売上高、(米)11月生産者物価指数、14日(金):(日)日銀12月短観

【予想レンジ】
・ドル・円80円00銭-85円00銭

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