ライフ

釣り初心者が竿を出す「堤防」は魚にとって大衆食堂的なもの

 高木道郎氏は1953年生まれ。フリーライターとして釣り雑誌や単行本などの出版に携わり、北海道から沖縄、海外まで釣行している。その高木氏が、堤防が持つ役割について解説する。

 * * *
 多くの釣り人がそうであるように、私もはじめて竿を出したのは堤防だった。買ったばかりの道具を手にいきなり大波打ち付ける荒磯へ繰り出したり、どこで竿を出せばいいかわからない広大な砂浜へ出掛ける人はたぶんいないと思う。

 堤防は人間が造ったものだから規則性があり、磯に比べて分かりやすい。それに魚影が濃く、魚種も豊富だから、釣り道場としてはうってつけの場所なのだ。

 その理由を説明するまえに堤防基礎知識。堤防を目的と規模から分類すると、防潮堤、港湾堤、漁港堤、突堤の4つになるが、防潮堤は規模が大きすぎ、海に接していないケースも多いので釣り場からは除外する。港湾堤は大きな港と護岸を含む周辺の堤防全般。漁港堤は漁船や遊漁船が利用する小さな港と周辺の堤防全般。突堤は浜から突き出た堤防。この3つが堤防釣りのフィールドである。

 また、真一文字に延びた堤防を一文字堤や一文字波止、単に一文字とも呼び、岸から離れた堤防のことを一般に沖堤、一直線の沖堤を沖一文字などと呼ぶ。離岸堤は波や潮流による浸蝕防止用として海岸と平行に造られたものを指すが、多くはテトラポッドなどの消波ブロック(波消しブロック)で構成される。そして、実は魚介類の養殖という役割も持つ。

 堤防は基本的に波や潮流の影響を強く受けるフィールドに設置される。波はサラシを作り、潮流は圧縮され、ねじ曲げられて新たな流れや潮目を生み出す。コンクリート表面には海藻類が付着し、海藻を常食する稚貝や甲殻類も定着する。

 堤防内側には砂泥が堆積して微生物やプランクトン、ハマトビムシなどの虫類、イソメやウニも棲み着き、それを食べに小魚が集まり、小魚を求めて大型魚食魚も回遊してくる。つまり、魚たちにとって堤防は大衆食堂かファミレスみたいな存在なのである。

※週刊ポスト2012年12月21・28日号

関連キーワード

トピックス

イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
将棋界で「中年の星」と呼ばれた棋士・青野照市九段
「その日一日負けが込んでも、最後の一局は必ず勝て」将棋の世界で50年生きた“中年の星”青野照市九段が語る「負け続けない人の思考法」
NEWSポストセブン
東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
「鳥型サブレー大図鑑」というWebサイトで発信を続ける高橋和也さん
【集めた数は3468種類】全国から「鳥型のサブレー」だけを集める男性が明かした収集のきっかけとなった“一枚”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン