ライフ

5人に飴を4個ずつ配ると飴はいくつ必要か 赤ペン先生回答

 ネットで繰り返し話題になるかけ算の問題がある。「5人に飴を4個ずつ配るとき、飴はいくつ必要になりますか」という問いに「5×4=20」と答えると、小学校の先生から「×」をもらう、というのである。正答は「4×5=20」である。しかし「かけ算の順番は入れ換えても一緒、A×B=B×A」ではないのか。ベネッセコーポレーションの「進研ゼミ小学講座」算数科に、説明してもらった。(取材・文=フリーライター神田憲行)

 * * *
 ベネッセからはより正確を期すために、文章で回答が寄せられたので、そのまま転載する。

—————————

 かけ算の式を書く順番について、進研ゼミでは(1つ分の数)×(いくつ分)=(全部の数)で立式するよう指導しております。理由は以下の通りです。

1:式は単なる「答えを出すもの」ではなく『数量の関係を表すもの』として指導しています。学習指導要領には「乗法が用いられる場合とその意味」として「乗法はひとつ分の大きさが決まっているときに、そのいくつ分かに当たる大きさを求める場合に用いられるつまり累加の簡素な表現として乗法による表現が用いられることになる」とあるので、そのような乗法の意味に合わせて立式をしています。

 かけ算の式を「単なる答えを出すためのもの」としてではなく「数量の関係を表すもの」としてとらえて、式を見たときに、誰でも同じ意味に読みとれなくてはいけないため、『飴を5個ずつ4人に配る』のであれば5×4と表現することが必要で、4×5では『飴を4個ずつ5人に配る』というように状況が変わってしまいます。

2:割合の考え方への拡張が自然にされる
《(1つ分の数)×(いくつ分)》という式は《(1つ分の数)×(何倍)》とも置き換えて考えられ、もとにする量の何倍かを求めるということは、割合の考え方につながります。「何倍」の部分は整数倍から小数・分数倍へと拡張し、《(もとにする量)×(割合)=(比べられる量)》という式になり《(割合)=(比べられる量)÷(もとにする量)》という割合を求める式に自然とつながります。

3:教科書の指導に合わせてお子さまの混乱を防ぐ
 上記のような考え方から、弊社が対応しているすべての教科書において、かけ算を《(1つ分の数)×(いくつ分)=(全部の数)》という式で扱っています。教科書に合わせた指導をしている弊社としては、お子さまの理解の混乱を防ぐためにも教科書と同様の指導をしています。

 以上のようなことから、弊社では、かけ算の立式については(1つ分の数)×(いくつ分)=(全部の数)で指導しております。

 かけ算の文章題を解く際には、「演算決定」「立式」「計算」という3つのステップがあり、(1つ分の数)×(いくつ分)=(全部の数)とすることは「立式」の部分における約束であることを指導しています。つまり、「立式」はかけ算の意味に基づいて行う必要がありますが、そのあとの「計算」においては、工夫したり、左右を入れ替えて考えたりしてもよいということになります。かけ算の交換法則を指導することで、お子さまの混乱も見えますが、「計算」のステップにおいて交換・分配法則を使うことは、かけ算の数の拡張には欠かせないことですので、「立式」とは別に「計算のきまり」としてしっかり指導しております。

———————

 かけ算の文章題は小学2年生で登場する。そこで(1つ分の数)×(いくつ分)=(全部の数)という考え方を抑えておけば、5年生で学ぶ「割合」の理解がしやすい。またかけ算の文章題では答えだけでなく、「立式」というステップも大切なポイントであるとは、重要な指摘だろう。

 なお、ベネッセの添削「赤ペン先生の問題」では、冒頭の問題のように「5人に飴を4個ずつ配るとき、飴はいくつ必要になりますか」という問いに「5×4=20」と答えた場合は、式に対して「×」ではなく「△」を与え、マイナス1点としているそうだ。

関連記事

トピックス

大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
結婚を発表したPerfumeの“あ~ちゃん”こと西脇綾香(時事通信フォト)
「夫婦別姓を日本でも取り入れて」 Perfume・あ〜ちゃん、ポーター創業の“吉田家”入りでファンが思い返した過去発言
NEWSポストセブン
(写真右/Getty Images、左・撮影/横田紋子)
高市早苗首相が異例の“買春行為の罰則化の検討”に言及 世界では“買う側”に罰則を科すのが先進国のスタンダード 日本の法律が抱える構造的な矛盾 
女性セブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン