国際情報

韓国が起源主張の剣道 全日本剣道連盟が日・英語で見解公表

 韓国がとかく世界中の様々なものを「○○の起源は韓国」と主張するトンデモぶりは、「味噌」や「ワサビ」など何でも韓国起源を主張していることからも分かる。これは韓国語の「ウリ(我々)」をもじって“ウリジナル”活動と揶揄されているが、今度は「剣道」までも起源主張しているというから驚きだ。

「これまではあえて反論しませんでしたが、近年になって『剣道の起源は日本ではなく韓国である』という記述がインターネット上などで目立つようになり、それに関する問い合わせも増えました。そこで、武士の生活の中から生まれた日本独特の文化である剣道について我々の見解や方針をまとめ、日本語と英語で公表しました」

 こう語るのは、日本の剣道、居合道、杖道を統括する「全日本剣道連盟」の福本修二・専務理事だ。なぜ、剣道の韓国起源説が騒がれるようになったのか。福本氏が続ける。

「韓国にはコムドという剣道と似たスポーツが存在します。剣道具やルールなどで共通したところがあり、漢字も同じ『剣道』を当てるので混同されがちですが、日本の剣道とコムドはまったく別物です」

 韓国国内ではコムドの流派や団体が多数活動している。道具などに共通性が見られるのは剣道が日本統治時代に伝わり定着したからなのだが、これが彼の国では「ウリジナルの証拠」になってしまう。最も有力なコムド団体である大韓剣道会は、ウェブサイト上で「剣道の宗主国(発祥の地)がどこかを語るのは難しく敏感な事案だが、刀を使う文化はどの国にも存在し、特定国家の専有物だとは言えない」としている。

 しかし、その一方で「日本文化の多くは百済から伝わったもの」「現代剣道に関する限りは日本が体系化し競技化したことは認めなければならないが、日本を凌駕する実力を備えることを目指すことで真の宗主国の地位を取り戻すことにつながる」と主張している。さすがにネットのトンデモ論よりはまともだが、国内世論に配慮して控えめながらウリジナル説を擁護している。

 韓国の主張に対し、両者の違いについて武道論が専門の大保木輝雄・埼玉大学教授が指摘する。

「剣道で着用する袴は江戸時代にできたものですが、そこには侍の精神や文化が表われています。例えば、袴に腰板(腰に当てる山形の板)を付けるのは侍だけです。

 腰板で背筋を伸ばし、生命を賭して戦に臨む時のように、身体と精神の姿勢を整える。また、前面の計5本ある襞には『五倫五常』という儒教的道徳観も込められています。剣道は侍の精神性を形にしたものです。しかし、韓国のコムドでは袴に腰板や襞を付けない独自のものを着用しています」

 また、「現在行なわれている剣道の起源は江戸期以降に求めるのが妥当」とするのは、同じく武道論が専門の長尾進・明治大学教授だ。

「1750年代に竹刀で思い切り打ち合う稽古方式が多くの流派で支持され、『撃剣』と呼ばれるようになった。侍が鍛錬に用いた剣術と、江戸時代中期に興隆した撃剣の2つが、現在の剣道の源流と考えられています」

※SAPIO2013年1月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン