2012年はLCC(ローコスト・キャリア=格安航空会社)の就航が相次いだが、2013年は格安クルーズが日本の旅行シーンを席巻しそうだという。旅行ジャーナリストの村田和子氏が解説する。
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2012年は国内LCCが相次いで運航を開始し、日本の空に旋風を巻き起こすなど、「国内LCC元年」と呼ぶにふさわしい1年だった。LCCを利用して短期間でも安く遠出する「安・遠・短」という新たな旅行スタイルの登場によって、旅の楽しみも客層も広がった。では、2013年はどのような旅のトレンドが予想されるだろうか。
まず注目したいのが「海のLCC」(ローコスト・クルーズ)だ。
2010年から世界最大規模のアメリカのクルーズ会社、ロイヤル・カリビアン・インターナショナルが所有する客船が日本で就航し、豪華なのに1泊1万円程度からという低価格クルーズの日本での火付け役となった。2013年は、同様の低価格を打ち出す新たなクルーズ旅行商品が満を持して日本に登場する。
それが、アメリカのプリンセス・クルーズ社の客船「サン・プリンセス」(7万7000トン、乗客定員2022人)だ。2013年4月~7月までの間に、横浜及び神戸発の全9コース(9出発日)を運航する。
日本では、国内の船を守るために、外国船が国内輸送をすることは禁止されている。外国船が日本をクルーズするには、必ずどこか海外の地点に寄らないといけない規則になっているのだ。このため、今回のサン・プリンセスも全9コースが日本発着だが、海外に寄港するスケジュールになっている。
海外にも立ち寄ることができるのにリーズナブルな料金が人気を集めている。たとえば、横浜発着で韓国と台湾を巡る9泊10日のコースが12万4000円~と、1泊1万円台の低価格を実現。もちろん、乗船中の食事やショーなどのアトラクションなどもすべて込みの料金だ。特に人気の高い横浜発着の「北海道周遊とサハリン10日間」コース(13万4000円)は2012年10月の段階でカテゴリーによってはすでに売り切れており、キャンセル待ちの状態が続いている部屋もあるという。
業界を牽引する前出のロイヤル・カリビアン・インターナショナルもゴールデンウィークの目玉商品として、2013年4月下旬、13万8000トンの豪華客船「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」(乗客定員3114人)を日本に就航させる。
メガシップによる上海・東京片道クルーズ3泊4日の旅が、なんと3万円~という激安価格はインパクト大だろう。飛行機で上海へ飛んで、そこから乗船する価値は十分にあるだろう。またそのようなツアーも組まれている。
激安価格だが、船内でのサービスはゴージャスだ。毎食、フルコースメニューを楽しめるメインダイニングに加え、ブッフェレストラン、24時間利用できるルームサービスも用意されており、料金はすべてクルーズ代金に含まれている。
船内には、スケートを楽しめるアイススケートリンクや、高級ブティックが軒を連ねる長さ122メートルのプロムナード、カジノ、ロッククライミング施設、ミニ・ゴルフコースなども設けられている。さらに、5月には東京発・横浜着で釜山などを同船で巡る「釜山・長崎クルーズ」6日間」(5月3日出発/10万8000円~)を投入するなど、日本発着のクルーズも登場している。
近年、欧米流のクルーズの旅が日本にも定着しつつあるが、豪華で価格が安い「海のLCC」の本格登場によって、日本でもますますクルーズの楽しさに魅了される人が増えると思われる。
※マネーポスト2013年新春号