兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
ネット空間で圧倒的な影響力を持つといわれる政治家・立花孝志容疑者(58才)が名誉毀損容疑で逮捕された。虚偽の内容を街頭演説やSNSで繰り返し発信したことを問われてのことで、認否は明らかにされていないが、発言した事実は争わないと供述していることが伝えられている。臨床心理士の岡村美奈さんが、政治のリーダーからデマゴーグへ変化し、その結果、起きたことについて解説する。
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「NHKから国民を守る党(NHK党)」党首の立花孝志容疑者が、亡くなった竹内英明元兵庫県議の名誉を傷つけた疑いで逮捕された。名誉棄損の容疑であれば在宅捜査が通例といわれる中で身柄を拘束され、逮捕された立花容疑者。兵庫県警が国外逃亡を警戒したのではという説もあるが、それだけ影響力があり、悪質だったということだろう。
「NHKをぶっ壊す」と叫んで国政政党へと進んだNHK党。受信料問題を中心に選挙に打って出てマイクを握り、世論を作り扇動していた頃はまだいくぶん政治家らしさがあったと思う。だがその後、NHKに対する威力業務妨害や元NHK党の中央区議への脅迫罪で懲役2年6月、執行猶予4年に判決を受ける。目的のためなら手段を選ばないのが彼のやり方だったといえる。その後の活動はパッとしない。一時期は、NHK党から出馬して当選したものの、有名人などへの脅迫の罪で逮捕されたガーシーこと東谷義和氏の方が世間を騒がせていたほどだ。
執行猶予中に別の事件で逮捕され、拘禁刑以上が確定すれば執行猶予は取り消される。おとなしくしていた方が無難だと考えるのが普通だが、おとなしくしていれば世間に忘れ去られる。SNSなどで情報を配信しても、注目されなければ収入にもならない。立花容疑者が次に狙ったのが兵庫県知事選、二馬力選挙といわれた選挙活動だ。再び主役として影響力を持つため、政治を利用しSNSなどの発信を通して利益を得ようとしたのだろうか。
兵庫県知事選の出直し選挙で流された斎藤元彦知事への陰謀論、立花容疑者から知事を貶めた中心的人物とみなされたことで言われなき誹謗中傷に苦しみ、家族を守るために議員を辞職したという竹内元県議。亡くなってもなお、立花容疑者は竹内氏への中傷を止めなかった。だが兵庫県警が異例の会見を行い、容疑者が発信していた情報はデマだったことが判明した。
