芸能

旅番組紹介する一部の元アイドル 癒され気分壊すと女性作家

 テレビの楽しみ方は人それぞれだが、にしても、気になって仕方がない、何とかならないのかあれは、と思った経験は誰にでもあるのではないか。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 民放のみならずNHKまでを埋め尽くすバラエティ番組。芸人とタレントが内輪話で盛り上がる様子はもうあきあきと、チャンネルを回し続ける漂流者が、特に中高年世代に増えているもようです。

 地デジ化によってBSも含めてチャンネルの選択肢はぐんと増えた。グルグル回しているうちに、ふと手を止めるのは、やはり、きれいな田舎の風景。おいしそうな地方料理、温かそうな温泉、素朴な田舎の人々。歴史街道を歩いたり、日本の原風景を訪ねたり。外国なら、マルシェに特産ワイン、田舎の農場風景に癒されたり、地中海の青さに見とれたり。

 つい、チャンネルをあわせてしまう「旅番組」。潜在的人気高まってきていますが、ただ旅風景を紹介すればいい、というものではない。

 制作側の方々は、旅番組は付け足しとか穴埋めとか経費節減対策とか思ってはいませんか? 構成やキャスティングが旅を生かしも殺しもすることを、ちょっと甘く見てはいませんか?

 例えば、旅の「紹介人」の人選について。

 旅番組の「主役」は、あくまで美しい山や海、掛け流しの温泉、郷土料理。しかし時に、元アイドルのひときわ濃い化粧の中年女性が、お風呂の中で黄色い裏声で自己主張。まだイケている、まだ男性に人気がある、という自意識なのでしょうが、見せられるこちらはドン引き。癒されていた気分が一気に吹っ飛んで、旅の世界が壊れてしまうことがしばしば。

 もちろん、「元アイドル」と言っても、旅における自分の立ち位置、ふるまい方の「匙加減」が、よくわかっている人といない人、くっきりと二つに分かれる。そのあたりを観察するのも、旅番組のもう一つの楽しみ方なのかもしれません。

 旅の風情に上手にフィットしている元アイドルの代表といえば……まずは、麻丘めぐみさん。「私の彼は左きき」では日本中を一色に塗りつぶす勢いの人気だった。でも、中年になった今、そんな自意識はみじんも感じさせず、過去は過去と落ち着いた所作。あくまで旅が主役だと心得ていて、一歩引きつつ土地の個性を紹介する。それでいて、楽しんでいることがちゃんと伝わってきます。

 その他にも、伊藤まい子(元芸名・麻衣子)さんや伊藤かずえさん、秋本奈緒美さんなど、旅の雰囲気を壊さない秀逸な旅のおとも、たちがいます。

 テレビ局は、番組に積極的にチャンネルをあわせてもらうことこそが最大の価値でしょう。でも、「邪魔にならない」ということも、今の時代には貴重な価値です。そのことを甘く見ていると、しっぺ返しをくらうかもしれません。なにせ、中高年世代の旅好きから、どんな新ビジネスが生まれてくるか、わからないのですから。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今年もMVPの最有力候補とされる大谷翔平(写真/Getty Images) 
《混迷深まるハワイ別荘訴訟》「大谷翔平は購入していない」疑惑浮上でセレブ購入者の悲痛、“大谷ブランド”を利用したビジネスに見え隠れする辣腕代理人の影
女性セブン
志穂美悦子との別居が報じられた長渕剛
《長渕剛・志穂美悦子についに別居報道》過去の熱愛スキャンダルの時も最後に帰った7億円豪邸“キャプテン・オブ・ザ・シップ御殿”…かつては冨永愛が訪問も
NEWSポストセブン
死因は上半身などを複数回刺されたことによる失血死だった(時事通信フォト)
《神戸女性刺殺》谷本将志容疑者が被っていた「実直で優秀」という“仮面” 元勤務先社長は「現場をまとめるリーダーになってほしかったくらい」と証言
週刊ポスト
「部員は家族」と語ってきた中井哲之監督だが…(時事通信フォト)
“謝罪なし対応”の広陵高校野球部、推薦で入学予定だった有力選手たちが進路変更で大流出の危機 保護者は「力のある同級生が広陵への進学をやめると聞き、うちも…」
週刊ポスト
還暦を過ぎて息子が誕生した船越英一郎
《ベビーカーで3ショットのパパ姿》船越英一郎の再婚相手・23歳年下の松下萌子が1歳の子ども授かるも「指輪も見せず結婚に沈黙貫いた事情」
NEWSポストセブン
ここ数日、X(旧Twitter)で下着ディズニー」という言葉波紋を呼んでいる
《白シャツも脱いで胸元あらわに》グラビア活動女性の「下着ディズニー」投稿が物議…オリエンタルランドが回答「個別の事象についてお答えしておりません」「公序良俗に反するような服装の場合は入園をお断り」
NEWSポストセブン
志穂美悦子さん
《事実上の別居状態》長渕剛が40歳年下美女と接近も「離婚しない」妻・志穂美悦子の“揺るぎない覚悟と肉体”「パンパンな上腕二頭筋に鋼のような腹筋」「強靭な肉体に健全な精神」 
NEWSポストセブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《還暦で正社員として転職》ビッグダディがビル清掃バイトを8月末で退職、林下家5人目のコンビニ店員に転身「9月から次男と期間限定同居」のさすらい人生
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された佳子さま(2025年8月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《日帰り弾丸旅行を満喫》佳子さま、大阪・関西万博を初訪問 輪島塗の地球儀をご覧になった際には被災した職人に気遣われる場面も 
女性セブン
侵入したクマ
《都内を襲うクマ被害》「筋肉が凄い、犬と全然違う」駐車場で目撃した“疾走する熊の恐怖”、行政は「檻を2基設置、駆除などを視野に対応」
NEWSポストセブン
8月27日早朝、谷本将志容疑者の居室で家宅捜索が行われた(右:共同通信)
《4畳半の居室に“2柱の位牌”》「300万円の自己破産を手伝った」谷本将司容疑者の勤務先社長が明かしていた“不可解な素顔”「飲みに行っても1次会で帰るタイプ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 大谷翔平「賭博トラブル」の胴元が独占告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 大谷翔平「賭博トラブル」の胴元が独占告白ほか
NEWSポストセブン