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ゴッホやモネ、ドガらが影響を受けピカソも真似た日本の春画

 大英博物館で2013年10月に開かれる春画をメインとした特別展では、世界各地から名作が一堂に会する予定だ。世界が春画を高く評価するのは、春画そのものの芸術性だけでなく、ゴッホ、モネら印象派からピカソまで、春画や浮世絵は世界の近代美術に大きな影響を与えていることも見過ごせない。

「オランダのゴッホ美術館には本人が収集した400点もの浮世絵が収蔵され、展示もされています」

 そう語るのは、西洋美術史研究が専門で府中市美術館館長を務める井出洋一郎氏だ。

「自ら日本風の庭園を造り『睡蓮の池』の連作を描いたモネは、広重の風景画など200点を収集していました。その他、マネ、ピサロ、ゴーギャン、ロートレックなど、多くの画家たちがジャポニズムの影響を受けました。彼らは春画や浮世絵に特徴的な、原色を使う色彩感覚、奇抜な構図に惹かれたのだと考えられます。

 特に、着衣で性行為を描く“チラリズム”など、部分に凝った春画の性表現は、全裸の肉体美を強調する西洋のポルノ作品しか知らなかった彼らにとって大きな衝撃だったことでしょう」(井出氏)

 特に、ドガはモノタイプ(一枚刷りの版画)の連作で娼婦たちの露骨な生態を描いているが、そこには春画の影響が顕著だという。そのドガの影響を受け、アクロバティックな構図で男女が抱き合う場面を描いたピカソのエロチカシリーズが生まれた。

「春画の影響を受けた画家の系譜から言えば、印象派の後代にあたるピカソは孫弟子です。日本の春画や浮世絵が、2000年に及ぶ西洋絵画の堅固な伝統を打ち破った“印象派の革命”に寄与した意義は非常に大きい」(井出氏)

※SAPIO2013年2月号



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