国際情報

自衛隊F15戦闘機 1機当たり1時間の飛行訓練経費は200万円

 中国人民解放軍は数の上では自衛隊の10倍の兵力を有している。しかし、いま中国軍と自衛隊が戦火を交えれば、中国軍に勝ち目はないと元航空幕僚長の田母神俊雄氏は指摘する。兵士の技量や練度が自衛隊員に遠く及ばないからだという。

  * * *
 統合幕僚学校の校長をしていた8年前、陸海空の一佐二佐の学生を連れて、北京郊外の航空団を訪問したことがある。その時、航空団司令に「パイロットは1年間にどれくらい飛行訓練をするのか」と尋ねた。すると司令は一瞬言いよどんで、「だいたい100時間ぐらい」と答えた。

 バツの悪そうな顔をしていたので、実際にはおそらく100時間にも満たないのだろう。仮に100時間だったとしても、月に約8時間でしかない。航空自衛隊の若手パイロットだったら、その2倍は飛ぶ。

 聞くところによると、北朝鮮のパイロットの飛行時間は年間20時間ぐらいだそうだ。これは技量的には離発着と遊覧飛行しかできないレベルだ。それよりは多いが、100時間を下回る飛行時間では満足な訓練ができるはずがない。

 なぜ飛行訓練時間が少ないのか。まず考えられるのはカネの問題である。自衛隊の要撃戦闘機F15は戦闘モードで飛行訓練をすると、1機当たりの経費が1時間で約200万円かかる。内訳は約8割が部品代、残りの約2割が燃料代だ。

 航空機は部品ごとに耐久性が違い、100時間飛行したら部品Aを交換しなさい、200時間飛行したら部品Bを交換しなさいといったことが、きめ細かく決められている。交換を怠ると老朽化して墜落事故を起こしかねない。特に戦闘機は振動が激しいからエンジンを支えているビスなどが折れやすいのだ。カネがなくて飛行訓練ができないとすれば、燃料代がないのでなく、部品交換が十分にできない可能性が高い。

※SAPIO2013年2月号


関連キーワード

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン