経済成長を重視する安倍晋三首相の経済政策を支えるブレーンはどのような人々なのか。側近の考えを知ることで、安倍氏の目指すところと直面する課題が見えてくる。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が解説する。
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アベノミクスは金融緩和と拡張的な財政政策、それに成長戦略の3本柱から成る。最も難しいのが3番目の成長戦略である。「こうすれば中期的に経済が必ず成長する」というような「魔法の杖」はない。
政府の役割は民間の自立と競争を促すために規制改革や教育改革を進めるのが基本である。改革がうまくいけば、ベンチャー企業が登場して当該産業や経済全体を牽引するだろう、という話なのだ。
「これが将来有望な成長産業」などと決め打ちして補助金や減税をバラ撒く政策はまず成功しない。かつての計画経済じゃあるまいし、そもそも机で考える官僚に有望産業を見抜く力などないからだ。
そういう前提で考えると、官僚自身はもちろん、霞が関の影響下にある御用学者らも信用できない。キーマンは産業競争力会議に名を連ねた竹中平蔵慶應義塾大学教授や新浪剛史ローソン社長、三木谷浩史楽天社長、秋山咲恵サキコーポレーション社長らになる。
特にゼロからの起業や新興企業経営に携わった経験を持つ企業トップ3人は、どんな規制がビジネスを阻害するか体験的に学んでいる。既得権に縛られない改革を提言する役割が期待されている。
成長戦略ではもう一つ、規制改革会議もある。こちらには第一次安倍政権で経済財政相を務めた大田弘子政策研究大学院大学教授やベンチャー創業者である金丸恭文フューチャーアーキテクト社長のような改革派がいる。私自身もここの委員に名を連ねた。微力ながら、全力を尽くしたい。
※SAPIO2013年3月号