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「性の文化史」にかかわる本はインテリジェンス高い読者が主流

 この10年間に日本で相次いで「性」にまつわる出版されている。なかでも『ペニスの文化史』『ヴァギナの文化史』など「性の文化史」シリーズの数々は、まさに知性と欲情をくすぐる「オトナの教科書」。そんな名著を次々と出版している、作品社の内田眞人氏が「性の文化史」市場について語る。

 * * *
「性の文化史」に関わる本はどれも分厚く、濃密な内容が詰まっている。版を重ねた本も少なくない。これは熱心な読者が存在していることの証明にもなる。

「性の文化史」市場のなかで数々の話題作を出版しているのが作品社だ。同社のほとんどの本を担当した内田眞人編集長は語る。

「露骨なタイトルには違いありませんが、すべてが性を扱ったマジメな人文書です。作品自体に知的な魅力がなければセールスに直結しません。インテリジェンスの高い読者が主流ですし、朝日新聞などで書評していただく機会の多いのも、その証拠だと思います」

 ただし読者は圧倒的に男性で中高年が多い。彼らも、タイトルに躊躇する場合があるのは否定できない。

「教員や公務員の読者には、書店へ行かずに通販、それも郵便局留めで購買される方もいらっしゃいます」

 文化史を名乗ったシリーズは2001年の『ペニスの文化史』が最初だった。この本が当たり、他社も同分野に参入。「性の文化史」市場は拡大した。

「これまで一番売れたのは2005年の『ヴァギナの文化史』で累計5万部を超えています」

 ちなみに作品社はこの手の本の専門出版社ではない。

「思想や哲学、政治分野のカタい書籍がメインです」

■内田眞人(うちだ まさと):1960年東京都生まれ。1984年に作品社に入社。同社の「異端と逸脱の文化史」シリーズを手がける。現在、「インポテンツ」や「変態」をテーマにした文化史本を準備中。

※週刊ポスト2013年3月1日号

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