プロ野球界には数々の珍伝説が存在するが、その中でも多くの人を仰天させたのが、元阪急ブレーブスの盗塁王・福本豊氏にまつわる伝説である。
社会人野球・松下電器の3年目だった福本氏は、ドラフト会議が行なわれた翌日、電車の中でスポーツ紙を読んでいた会社の同僚に声をかけた。
「なんかオモロイこと載ってまっか」
「オモロイてお前、阪急から指名されとるやんけ」
福本氏は「本当に、それで初めて気づいたんよ」と頭を掻く。
「ホンマかいなと思ったけどね(笑い)。球団は松下の野球部長と話をつけていたんやけど、僕には伝わってなかった。本当はプロになる気もなかったんやけど、スカウトから何度も食事に誘われてたし、御馳走になるうち気の毒になって契約することにしたんですわ」
※週刊ポスト2013年3月8日号