ビジネス

引っ越し業界「日雇い派遣禁止」で繁忙期に例外の学生派遣頼み

「弱者を守ろう!」という美辞麗句で規制が強化され、逆に当事者を困らせることがこの国ではよくある。まさに“おバカ規制”であり、現場の実態を知らない政治家や役人が圧力団体や利権屋に引きずられた結果、問題はさらに深刻になる。派遣労働者を巡る規制は、その典型例だと、政策工房社長の原英史氏は訴える。

 *  * *
 新年度を機に、学生も社会人も新たな環境に身を投じる人が多い。そんな時期にあたる3~4月は引っ越し業界の書き入れ時だ。

 全国引越専門協同組合のデータによれば、3月と4月の引っ越し件数は他の月の2~3倍となる。年間の引っ越しの3割以上がこの2か月間に集中するのだから、まさに猫の手も借りたい繁忙期である。

 そんな引っ越しシーズンを前に、今年は多くの業者が人手の確保に苦労している。全日本トラック協会の広報担当者はこう語る。

「いくら忙しいと言っても3~4月だけ社員を増やすわけにはいきませんから、これまでは『日雇い派遣』で人手を確保してきました。しかし去年の労働者派遣法の改正で、『30日以内の日雇い派遣の原則禁止』が定められてしまったため、どうやって人手を集めるか頭を抱えている業者が少なくないのです」

 程度の差こそあれ、どんな仕事にも繁忙期と閑散期が存在する。引っ越し業界のように極端な場合は、忙しい時期の仕事量に合わせて正社員を増やせば、閑散期に多くの社員が暇を持て余す状況になってしまう。ビジネスの世界に少しでも足を踏み入れたことのある者なら当然わかることだ。

 前出の全日本トラック協会の広報担当者は3~4月の乗り切り方についてこう語る。

「人員確保には、日雇い派遣の例外である学生の派遣を求めるぐらいしか方法がなくなりました。30日以上なら日雇いに該当しないので、従来通り派遣のかたちを使えるのですが、引っ越しは曜日によって波があり、30日以上ずっと派遣を受け入れられるかというと必ずしもそうはいかない。

 アルバイトを雇うのも手ですが、一人ひとりと雇用契約を結ぶなどの手続きや支払い事務が必要になり、しかも大人数を雇うのでその手間が大きな負担になります」

※SAPIO2013年4月号

関連記事

トピックス

昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
1年時に8区の区間新記録を叩き出した大塚正美選手は、翌年は“花の2区”を走ると予想されていたが……(写真は1983年第59回大会で2区を走った大塚選手)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈3〉元祖“山の大魔神”の記録に挑む5区への出走は「自ら志願した」
週刊ポスト
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン