ビジネス

ゆるキャラの「くまモン」 コストの方が上回る可能性との指摘

 今、日本百貨店協会が主催する「ご当地キャラ総選挙」で、全国の自治体が熾烈な選挙戦を繰り広げているが、多忙を極めるゆるキャラたちは、忙しい上に、さらに支出もかさむ。

 ゆるキャラには自治体が国の緊急雇用創出推進事業補助金を使って民間委託しているものと、公認キャラとして自治体から独自に予算が出ているものがある。

 群馬県の「ぐんまちゃん」は県の公認キャラで、今年度の予算額は1427万8000円だという。

「ここに職員の人件費は含まれていません。正直、私たち職員だけでは忙しくて対応しきれない場合があり、その時は民間業者に依頼します。その委託費が予算額の約3割。その他は、イベントで配布するノベルティや、イベント参加費、交通費、着ぐるみの手入れ、印刷代などになります」(ぐんまイメージアップ推進室)

 県のPR活動が目的のため、イベントの出演料は無料で、交通費も自治体負担。PR活動の結果、県が委託しているアンテナショップなどで収入があった場合は、その一部は県に入るが、それでも経費の負担は決して小さくない。

 着ぐるみ代もばかにならない。近年増えている、内部で風船を膨らませてボディの形状を保つタイプの製作会社担当者が説明する。

「エアー着ぐるみは1体50万~70万円。約3kgのバッテリーを付けたベストを中で着てもらいます。通常タイプより10万円ほど割高です」

 今、ゆるキャラ界きってのヒーローといえば、熊本県の「くまモン」だろう。そのキャラクター利用商品の昨年1年間の売り上げは293億6200万円にのぼる。熊本県はくまモンのキャラクター利用料を取っていないが、「熊本県のPRにつながるか、県産品のPR促進につながる」ことを許可の条件にしているため、税収で潤っているはず。

 だが、PHP研究所地域経営研究センター・佐々木陽一主任研究員は首を振る。

「くまモンでさえ、コストと税収増の数字を試算すると、コストが上回っている可能性が高い。規模は違いますが、各自治体も同様に赤字でしょう。しかも、ゆるキャラの世界は栄枯盛衰が激しく、泡沫キャラも数知れない。ゆるキャラたちが生き残っていくためには、コストとのバランスがより重要になる」

※週刊ポスト2013年5月17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の「二刀流登板日」に私服で観戦した真美子さん(共同通信)
「私服姿の真美子さんが駆けつけて…」大谷翔平が妻を招いた「二刀流登板日」、インタビューに「今がキャリアの頂上」と語った“覚悟と焦燥”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《お腹にそっと手を当てて》ひとり娘の趣里は区役所を訪れ…背中を押す水谷豊・伊藤蘭、育んできた3人家族の「絆」
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
《前科は懲役2年6か月執行猶予5年》「ストーカーだけでなく盗撮も…」「5回オートロックすり抜け」公判でも“相当悪質”と指摘された谷本将志容疑者の“首締め告白事件”の内幕
NEWSポストセブン
硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン