ライフ

標準和名サクラダイはマダイでなくハタ科に属す小型ニセダイ

 魚の呼び名はさまざま。同じ魚でも、季節によって微妙に色を変えることから季節限定で“サクラ”の名を冠する魚について、釣り関連の著書を多く執筆・編集している高木道郎氏が解説する。

 * * *
 桜が咲く頃に釣れるマダイをサクラダイと呼ぶ。マダイは海水温が12度を上回ると越冬場所である深場から浅場へ移動し、産卵にそなえて体力をつけるためにエサを食べ漁る。そして、海水温が15度前後になると沿岸部の浅場で産卵する。産卵は日没前後に海面近くで行われることが多く、ときに数週間に及ぶそうだ。

 東京湾口周辺ではマダイが遊泳する層の水温が12度から13度を維持する頃、表層の水温は16度から18度を示す。これはサクラ(ソメイヨシノ)の開花時期とリンクするため、昔からこの時期に獲れる乗っ込みマダイをサクラダイと呼んで珍重したのである。

 産卵は5月、6月と続き、それ以降は一時的にやせ衰えて体色も黄ばんでしまう。この時期のマダイをムギワラダイと呼ぶが、産卵後のマダイは脂が抜けてムギワラのようとの意味もあるらしい。

 桜前線とともにサクラダイ前線は太平洋岸を西から東へ、日本海を津軽海峡まで北上して行くのだが、これは船釣りの話。磯や堤防の場合はもう少し時期が遅くなるようだ。桜前線といっしょに移動するのはクロダイのほうの乗っ込み前線で、それにやや遅れる感じでマダイの乗っ込みが続く。

 津軽半島ではマダイはリンゴの花とともにやってくる。有名な弘前公園のサクラの開花日は4月下旬、リンゴ園で白い花が開きはじめるのが5月上旬だから、10日から2週間のズレになるだろうか。

 釣り人は陸を見て魚の動きを読み取り、空を見上げて海の変化を予測する。草木の葉、昆虫、渡り鳥も参考になるが、それは関連データによる予測より正確なことが多い。花鳥風月を友とする風流な釣り師ほど、魚や海の状態を素早く予測できるということだ。ちなみにサクラダイが標準和名の魚もいるが、こちらはハタ科に属する小型のニセダイである。

■高木道郎(たかぎ・みちろう)/1953年生まれ。フリーライターとして、釣り雑誌や単行本などの出版に携わる。北海道から沖縄、海外へも釣行。主な著書に『防波堤釣り入門』(池田書店)、『磯釣りをはじめよう』(山海堂)、『高木道郎のウキフカセ釣り入門』(主婦と生活社)など多数。

※週刊ポスト2013年5月24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

元旦に結婚を発表した長澤まさみ
《長澤まさみが過去のSNS全削除と長期休養への背景》長澤まさみ、主演映画の撮影を1年延ばして選んだ電撃婚 『SHOGUN』監督夫と“帯同同伴カナダ計画”
NEWSポストセブン
《まだみんなウイスキーのおもしろさに気付いていない》イチローズモルトの初代ブレンダーが営業マン時代に着目したこと【連載「酒と人生」】
《まだみんなウイスキーのおもしろさに気付いていない》イチローズモルトの初代ブレンダーが営業マン時代に着目したこと【連載「酒と人生」】
NEWSポストセブン
大分市立中学校の校内で生徒が暴行を受けている動画が、SNS上で拡散された(Xより)
《いじめ動画の保護者説明会“録音データ”を入手》「『先生に言ったら倍返しになるから言わないで』と…」子供の不安を涙ながらに訴える保護者の悲痛な声【大分市】
NEWSポストセブン
久米宏さんが瀬戸内寂聴さんに語っていた「妻・麗子さんへの深い愛」とは(共同通信社)
〈妻と結婚していなかったら…〉久米宏さんが瀬戸内寂聴さんに語っていた「妻・麗子さんへの深い愛」 学生時代に知り合い結婚…仕事も家庭も2人で歩んだパートナー
NEWSポストセブン
高市早苗氏(時事通信フォト)
《600億円が使われる総選挙開戦へ》党幹部も寝耳に水、高市首相“チグハグ解散”背景にある3つの要因「旧統一教会問題」「不祥事」「対中関係」 “自民党軽視”と党内から反発 
女性セブン
北海道日高町で店の壁の内側から20代の女性の遺体が見つかった事件(左・店舗のSNSより)
《北海道日高市・壁に女性看護師の遺体遺棄》「お袋には何かにつけてお金で解決してもらって感謝している」バー経営・松倉俊彦容疑者が周囲に語っていた“トラブルエピソード”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)(左・SNSより、右・飲食店サイトより、現在は削除済み)
《不同意性交で再逮捕》「被害者の子が眼帯をつけていたことも」「シラフで常連にブチギレ」鈴木麻央耶容疑者がガルバ店員を洗脳し“立ちんぼ”強要…店舗関係者が明かした“悪評”
NEWSポストセブン
モデルやレースクイーンとして活動する瀬名ひなのさん(Xより)
《下半身をズームで“どアップ”》「バレないように隣のブースから…」レースクイーン・瀬名ひなのが明かした卑劣な”マナー違反撮影“、SNSの誹謗中傷に「『コンパニオンいらない』は暴論」
NEWSポストセブン
肺がんのため亡くなったフリーアナウンサーの久米宏さん(時事通信フォト)
【追悼】久米宏さん 本誌だけに綴っていた「完全禁煙」と「筑紫哲也さんとの“再会”」
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《鎖骨をあらわに予告》金髪美女インフルエンサーが“12時間で1000人以上と関係”の自己ベスト更新に挑戦か、「私が控えめにするべき時ではありません」と“お騒がせ活動”に意欲
NEWSポストセブン
美貌と強硬姿勢で知られるノーム氏は、トランプ大統領に登用された「MAGAビューティ」の一人として知られる(写真/Getty Images)
〈タイトスーツに身を包む美貌の長官〉米・ミネアポリスで移民当局が女性射殺 責任者のクリスティ・ノーム国土安全保障長官をめぐる“評価”「美しさと支配の象徴」
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
《クスリ漬けか…との声も》ギャル系美女が映っていた“異様な監視カメラ映像”とは》「薬物を過剰摂取し、足も不自由で、死んでしまう…」中国インフルエンサー(20)の住居の管理人が証言
NEWSポストセブン