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高村薫氏 「憲法改正に断固反対。安倍政権は支離滅裂」談

 にわかに巻き起こっている憲法改正論議。夏の参院選では大きな争点になると見られる。『マークスの山』、『レディ・ジョーカー』などで知られる作家・高村薫さん(60才)はどう考えるのか。

「96条は憲法そのものについてのルールであり、憲法のいちばんの大枠です。その条項に手をつけること自体が完全なルール違反。これは憲法を否定する行為であり、『憲法はいらない』といっているに等しい」(高村さん・以下「」内同)

 高村さんは、憲法改正については是々非々で論じるべきという立場だ。

「ゲームはフェアでなければならないのに、自分の都合が悪いからと途中でルールを変えるのは卑怯です。96条改正により、時の政権に都合よく憲法が変えられるようになると、もはや憲法の意味をなしません。護憲派、改憲派以前の話、国民投票以前の話です」

 高村さんは高校時代、学生運動などで護憲派・改憲派が真っ向から対立する様子を見つめながら、独自の憲法観を育んでいった。

 その持論は、「憲法はゆるゆるがいい」。憲法は学校の規則とは違い、“ゆるい”ほど本領を発揮するという考えだ。

 実際、9条で一切の戦力を否定しながらも現実に自衛隊が存在するように、シロかクロかをはっきりさせない“曖昧さ”こそが、憲法のあるべき姿であると言う。

「憲法には一見曖昧な“のりしろ”があるほうがいい。時代・状況は刻々と変わります。その折々に判断できる曖昧さがあったおかげで、日本の憲法は戦後ずっと保たれました。憲法がゆるくて曖昧だからこそ、安全保障の問題も現行憲法の枠内で対処できます。中国や北朝鮮の台頭で9条を中心とした憲法改正が唱えられていますが、憲法を変えずとも自衛隊法の改正などで充分対処できるんです。わざわざ国防軍を創設する必要はありません」

 安倍首相は96条を改正し、憲法発議のハードルを下げて国民投票に委ねることで、「アメリカに押しつけられた憲法を国民の手に取り戻す」と強調する。

「今の憲法は誰の憲法だと言いたいのでしょうか。“取り戻す”という意味不明の言葉はどこからきているのでしょうか。安倍政権はまさに支離滅裂です。そのよい例が、1952年のサンフランシスコ講和条約発効を記念して、今年4月28日に都内で開かれた『主権回復記念式典』でした。戦後に講和条約を受け入れたということは、日本国憲法も受け入れたということでしょう。一方で盛大にお祝いしつつ、他方で憲法は押しつけられたなんて明らかに矛盾しています。まったく理解不能です」

※女性セブン2013年5月30日号

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