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『くちづけ』主演の貫地谷しほり 堤幸彦監督と作品語り合う

 2万4000人を熱い涙で熱狂させた東京セレソンデラックスの伝説の舞台『くちづけ』を堤幸彦監督(57才)が映画化(5月25日公開)。初主演となる貫地谷しほり(27才)と監督の対談をお届けします!

 貫地谷が演じる、7才の心のまま大人になった30才の主人公・マコと、愛情深い父親・いっぽん(竹中直人)を中心に、彼らが暮らすグループホーム「ひまわり荘」での人間模様を描いている映画『くちづけ』。

堤:貫地谷さんとは、ぼくが演出したドラマ『H2~君といた日々』(TBS系)が最初で、その後ぼくの舞台にも出てもらって、今回が3度目。最初にお会いしたときから大物の予感がありました。ここぞっていうときに、頼む場面が必ずあるだろうと。

貫地谷:監督とは不思議なご縁があるんですよね。私の転機のときに必ずいらっしゃるという。初めて出たドラマも、初舞台も、そして初の主演映画も。本当にご縁を感じています。それだけプレッシャーでもあるんですけど(笑い)。

堤:ぼくはこの作品の舞台を見てとても感動して、映画化を強くすすめてきたんですが、自分が監督をさせてもらえると決まったとき、貫地谷さんはマコのイメージにぴったりだと思ったんですよ。しかも、絶対要求をクリアしてくれるだろうと。非常にハードルの高い芝居ですが、難なくやっていただけるだろうって。

貫地谷:私は最初に脚本を読んで、容易な役ではないし、どう立ち向かうかだけを考えていましたね。

 映画でグループホームを描くため、撮影前、堤監督はじめ俳優やスタッフは、3か所のグループホームを訪問し、いろいろと話を聞いた。

堤:ホームのみなさんと一緒にご飯を食べたり、コミュニケーションを取りながら交流したり。役者自身が本質をつかみ取ることが大事だと思ったんです。

貫地谷:ホームである女性にお会いしたとき、彼女と主人公マコのイメージがピッと一致しました。年齢を聞いたら40才を越えていましたが、「彼氏がほしい」「結婚したいけど親が許してくれない」って本当にかわいくて。ただ、他のホームを見学したら、すごくいろんなかたがいらっしゃったので、逆に選択肢が広がってしまい、最初のシーンを撮るまでずっと悩んでいました。

堤:舞台の、その印象を崩さず、知的障がい者のかたがたの暮らしぶりをそのまま描きたかった。

 明るくて楽しくてホロっと泣けるいい話でありながら、彼らの現状や、「障がい者の人がひとりぼっちになったとき、それでも生きていける世の中にすべきではないのか?」という痛切な台詞や、病に侵された父が「いっぽんの娘でありがとう」と言う台詞など、社会的な事実をきっちりと主張する台詞も多く入っている。だからこそ笑って泣けて、というところに非常に意味があると思い、映画もそこは外したくなかったんです。

※女性セブン2013年6月6日号

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