ビジネス

「投資しないことがリスク」と豪語の若者「株やらねー」に変心

 日経平均が1143円安となった5月23日の大暴落。大きなダメージを被った個人投資家たちも少なくない。実際に痛手を被った個人投資家たちは、あの日をどのように過ごしたのか。関西在住の個人投資家・T氏が嘆く。
 
「あの日は朝から電力株や自動車株などを買っては損切り、買っては損切りの繰り返しでした。結局、午後の早い時間ですべて投げ打って、その時点で2000万円以上負けてしまいました……」

 何かがおかしいと危険を察知したT氏は、この日の午後に訪れる急落局面を前に空売りなどを仕掛け、防衛策を講じる。

「なんとか取り返すことができましたが、結局トータルで858万円のマイナスでした。あそこで空売りせずに買い一辺倒のままだったら、3000万~4000万円負けてもおかしくない状況でした」

 と振り返るT氏。深い傷は負わずに済んだというが、それでも1日で普通のサラリーマンの年収を上回る資金が吹き飛んだことになる。このパニックをほくそ笑んで眺めていた人も多いはず。

「同期の男はいつもトイレにこもって携帯で株取引し、『儲けはすでに高級車が買える額になっている』と自慢していた。5月23日は昼すぎからそわそわし始めて、デスクとトイレを行ったりきたり。会議でも株価が気が気でないという青い顔をしていた」(関西の大手電機メーカー30代社員)

 40代後半の建設会社課長は、今年1月に30代前半の部下からこういわれたことをはっきりと覚えている。

「課長、株やっていないんですか? これからの時代は、投資しないことがリスクなんですよ。これだけ株が上がってるのに、マジもったいないです」

 その部下は、今回の大暴落で、案の定、数十万円の損失を出したという。後日、部署の飲み会で、「安倍政権に騙された。甘利(経済再生相)のやつ、(5月28日の)記者会見で『当機はまもなく乱気流を抜ける予定でございます』なんて、ふざけんじゃねーよ。もう株なんて絶対やらねー」とくだを巻いていた部下に対し、課長は「投資もやっぱりリスクだったなー」と皮肉で返してやった。

 昨今の株高で老後資金を投資に振り向けていたシニアも多かった。

「マンションの理事会で月1回顔を合わせる60代夫婦は、株高のおかげで世界一周の海外クルーズに行くといっていた。今回の暴落で損失も多かったはず。私は虎の子の老後資金を株につぎ込まなくて本当にホッとしている」(関東在住の60代男性)

 暴落の夜には「他人の不幸は蜜の味」といわんばかりに、「ネット検索で投資失敗談を探しまくった」(40代会社員)という人もなかにはいた。実際、ネット上では資産3000万円からマイナス1500万円の借金生活に転じたサイトが話題にもなった。

※週刊ポスト2013年6月14日号

関連キーワード

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン