ビジネス

「若手が話しやすい環境作りは上司にとって大切」と専門家

 ここ最近、しゃべらない若者が増え、コミュニケーションが難しくなったとの声も多々聞かれる。産業能率大学総合研究所は今年4月から、コミュニケーションが苦手な社会人を対象とした「チャンスをつかむ!仕事に役立つ雑談力」と題した通信講座を開講した。
 
「メールで用件を済ます人が増えているせいか、集団の前で論理的にプレゼンすることは得意でも、1対1の雑談は苦手な方が結構いるのが特徴ですね」(広報担当)
 
 同講座では、具体的な場面を設定したケーススタディを学ぶ。例えば失言をした場合、「そういった意味でいったわけではない」というのはNGで、「余計なことをいってすみません。家族にもよく怒られるんですよ」と、自らの失敗談を織り交ぜ、自分を開示することでビジネスにプラスに転じるといった具体例が紹介される。
 
 しゃべらない若者は、彼らなりに悩み、努力しているのかもしれない。そこを頭ごなしに叱りつけると、逆効果となるケースも。人材コンサルタントの常見陽平氏の指摘だ。
 
「そもそも、上司のほうが話しかけづらい雰囲気を出していることが多い。日々の業務に上司も余裕がなく、ムスッとしたり、気分屋だったりすれば尚更です」
 
 近年は、「別に上司に聞かなくても、疑問はほとんどインターネットで解決できる」と若手が錯覚してしまっていることも、状況の悪化を招いている。
 
「『ナレッジサイト』と呼ばれる、企業の従業員同士で知識や情報を共有できるサイトの影響が大きい。自分の仕事に関する疑問は、そのサイトを覗けば大抵の事はわかってしまう。近くにいる上司に聞けばすぐわかることでも、『そんなこともわからないのか』といわれるのが嫌なので会話を遠ざけるのです。
 
 上司からすれば、部下が仕事の何でつまづいているかを知るきっかけや、先輩としての経験を伝えるせっかくの場を失うことに繋がってしまった。もっともこれは若者だけが悪いわけでなく、世の中が便利になりすぎたという側面でもあります」(同前)
 
 さらに常見氏は、「しゃべらない若手が話しやすい環境を作り、部下がなんでも抱え込まないで相談しやすいようにすることも、上司にとって大切なこと」と語る。特に「今年の新人」にとっては、それが肝要のようだ。

※週刊ポスト2013年6月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
川崎春花
【トリプルボギー不倫の余波】日本女子プロ2022年覇者の川崎春花が予選落ち 不倫騒動後は調子が上向かず、今季はトップ10入り1試合のみ「マイナスばかりの関係だった」の評価も
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
「中野駅前大盆踊り大会」前夜祭でのイベント「ピンク盆踊り
《中野区長が「ピンク盆踊り」に抗議》「マジックミラー号」の前で記念撮影する…“過激”イベントの一部始終
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
『東宝シンデレラ』オーディション出身者の魅力を山田美保子さんが語ります
《第1回グランプリは沢口靖子》浜辺美波、上白石姉妹、長澤まさみ…輝き続ける『東宝シンデレラ』オーディション出身者たちは「強さも兼ね備えている」
女性セブン
9月6日から8日の3日間、新潟県に滞在された愛子さま(写真は9月11日、秋篠宮妃紀子さまにお祝いのあいさつをするため、秋篠宮邸のある赤坂御用地に入られる様子・時事通信フォト)
《ますます雅子さまに似て…》愛子さま「あえて眉山を作らずハの字に落ちる眉」「頬の高い位置にピンクのチーク」専門家が単独公務でのメイクを絶賛 気品漂う“大人の横顔”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン
川崎春花
【トリプルボギー不倫の余波】日本女子プロ2022年覇者の川崎春花が予選落ち 不倫騒動後は調子が上向かず、今季はトップ10入り1試合のみ「マイナスばかりの関係だった」の評価も
NEWSポストセブン