ライフ

東京地裁の金属探知器 感度が高く避妊具包装用銀紙にも反応

 裁判傍聴がブームだという。法律を学ぶ学生か、有名人や有名事件に関わらなければ気にとめることもない裁判を、老若男女、さまざまな人が趣味として傍聴しているのだという。その裁判傍聴の様子を、作家の山藤章一郎氏が報告する。

 * * *
 東京地裁は毎日10時に開廷する。東京メトロの霞ヶ関駅A1出口が一番近い。徒歩1分。この日、地裁前の通路で「武富士の不当利得を訴える団体」の幟をかかげた数人が演説していた。

 所内に入り、ボディチェックを受ける。ズボンのポケットで「ピー」が鳴った。

「ああコンドーム」警備員がいう。「パッケージの銀紙が鳴るから」

 探知器の感度は相当すぐれている。恥ずかしかった。

 ロビー正面のカウンターに向かう。当日の裁判内容を綴った冊子が置かれている。〈公判開廷予定表〉という。〈刑事〉と〈民事〉に分かれている。裁判の開始時刻、事件番号につづき、事件名、被告人の名、担当部係、裁判官(長)、書記官の項目が記されている。

 中に〈審理予定〉の項がある。〈新規〉の事件か、〈審理中〉か、〈判決〉が出る日か、これで分かる。マニアはこれをためつすがめつ検討する。それぞれ好みがある。交通事故、殺人、女の覚せい剤……強姦。この予定表を見るだけで胸が躍るという者もいる。

〈フクロ〉〈ピーちゃん〉は女の覚せい剤事件に目がない。被告人の名前で、若いか年増か割り出す者もいる。「好子」より「愛菜」。〈開廷予定表〉を見ずに、ともかく傍聴をと思う人は、エレベーターで適当な階に降りる。

 天井から吊り下がった〈法廷番号表示〉にランプがついていれば開廷中である。〈傍聴人入口〉と〈検察官・弁護人入口〉がある。ノックや黙礼は要らない。ちょっと重たい扉を開けて、席に着く。無料の自由席。

 裁判官によって、「なんだ、途中で入ってきやがって」の顔をするのもいる。気にすることはない。さてどの席が、眺めがいいか。

 通常、被告人は左側の扉から入ってくる。この入廷の一瞬を狙う。だから向かって右側の前がS席である。あまり面白くなければ、速やかに退廷する。

※週刊ポスト2013年7月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
間違いだらけの議事録は「AIのせい」(写真提供/イメージマート)
《何でもAIに頼る人たち》会社員女性が告白「ケンカの後、彼から送られてきた”彼女の方が悪い”とAIが回答したスクショ」ほどなく破局
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン