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交番に駆け込んだ生活困窮者 共産党の相談所行けといわれる

 首都・東京で異変が起こった。日本共産党が、17もの議席を獲得し、民主党や日本維新の会を押さえ「野党第一党」の座に立ったのだ。国民にとって「共産党」という党名と、その主義・主張に対するアレルギーは強い。にもかかわらず多くの有権者が“劇薬”を手にしたのは、それが国民に負担を強いる安倍・自民政治に対する究極にして唯一の「NO」の意思表示だったからではないか──。

 この際、先入観を捨てて見るならば、共産党の地方議員や組織が、党員のためだけでなく広く「市民のため」に地道な政治活動を展開してきたことは確かだ。

 同党の地方議員や候補者は事務所に「生活相談所」の看板を出し、収入が低い人への都営住宅入居や生活保護の申請手続きの支援から、解雇やサービス残業で困っているという人への労働相談まで24時間対応で受け付ける。

「生活に困った人が交番に駆け込んだら、警察官から『共産党の生活相談所に行け』といわれたといって来る人もいます」(共産党地区委員会のスタッフ)

 このようなセーフティネットは本来、行政が担う役割だが、その機能は行政の効率化の中で縮小されてきた。その是正を掲げた民主党政権は結果的に「予算がない」といって放置した。共産党がまさにそうした“究極のドブ板”活動で支持を広げていることもまた事実である。

 地方議会がオール与党化する中で、共産党が行政チェック機能を果たしてきたことも支持を集めた理由だろう。東京・北区では、住民にはほとんど知らされないまま進められた道路建設を議会で追及し計画を棚上げさせた。豊島区では、地元商店主らと一緒にタワーマンション建設に反対し、容積率緩和を阻止して低層マンションに変更させた。

 道路建設や再開発を止める政策が正しいかどうかは別として、行政の判断を追認するばかりの議会の中で、住民の意見を集めて行政のチェックを加えるのは議会(議員)の重要な役割である。

※週刊ポスト2013年7月12日号

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