ビジネス

森永卓郎 アベノミクス副作用で米国型弱肉強食社会化を懸念

 経済アナリスト・森永卓郎氏は、「『アベノミクスは期待先行に過ぎない』との批判を尻目に、実体経済を動かしはじめ、日本経済は着実にデフレ脱却に向かっている」という。しかし、それだけでは終わらない。アベノミクスの「副作用」について、森永氏が解説する。

 * * *
 アベノミクスには強烈な副作用が考えられる。特に、金融政策、財政出動に続く「3本目の矢」である成長戦略には日本経済を激震させかねない大きな危惧があります。この成長戦略の本質は、規制緩和・市場原理主義を徹底して、日本をアメリカのような弱肉強食社会へ向かわせるものにほかならないからです。

 その典型といえそうなのがTPP(環太平洋経済連携協定)で、もし正式参加となれば日本の主張は認められず、日本の農業が崩壊するような関税撤廃に向かう可能性が非常に高い。

 また、成長戦略の目玉として「アベノミクス戦略特区」構想を打ち出していますが、これも弱肉強食化を進める意図が見え見えなのです。東京、名古屋、大阪などの大都市圏だけに、法人税を減免する特区をつくることなどが骨子になった構想で、ただでさえ疲弊している地方にさらに追い討ちをかける、不公平この上ない政策です。

 なぜ、そんなとんでもない政策を断行しようとしているのか。それを餌に、さらに外資を引きずり込みたいという戦略なのです。

 戦略特区構想の中には、公共交通機関の24時間運行も盛り込まれています。これが実現すれば、労働者は終電を理由に仕事を切り上げることも許されず、止めどなくサービス残業をさせられかねません。

 さらに、雇用面では、労働者移動支援助成金の拡充を打ち出す一方で、企業の解雇規制の緩和を画策している。これが意味するものは、政府は転職支援のセーフティネットを準備するので、企業は正社員でもバンバンクビを切っていい。つまり、アメリカ型の弱肉強食の仕組みにしたいということなのです。

※マネーポスト2013年夏号

関連記事

トピックス

真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン
今年の”渋ハロ”はどうなるか──
《禁止だよ!迷惑ハロウィーン》有名ラッパー登場、過激コスプレ…昨年は渋谷で「乱痴気トラブル」も “渋ハロ”で起きていた「規制」と「ゆるみ」
NEWSポストセブン
トランプ米大統領と高市早苗首相(写真・左/Getty Images、右/時事通信フォト)
《トランプ大統領への仕草に賛否》高市首相、「媚びている」「恥ずかしい」と批判される米軍基地での“飛び跳ね” どう振る舞えば批判されなかったのか?臨床心理士が分析
NEWSポストセブン
アメリカ・オハイオ州のクリーブランドで5歳の少女が意識不明の状態で発見された(被害者の母親のFacebook /オハイオ州の街並みはサンプルです)
【全米が震撼】「髪の毛を抜かれ、口や陰部に棒を突っ込まれた」5歳の少女の母親が訴えた9歳と10歳の加害者による残虐な犯行、少年司法に対しオンライン署名が広がる
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《新恋人発覚の安達祐実》沈黙の元夫・井戸田潤、現妻と「19歳娘」で3ショット…卒業式にも参加する“これからの家族の距離感”
NEWSポストセブン
キム・カーダシアン(45)(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストの元妻の下着ブランド》直毛、縮れ毛など12種類…“ヘア付きTバックショーツ”を発売し即完売 日本円にして6300円
NEWSポストセブン
レフェリー時代の笹崎さん(共同通信社)
《人喰いグマの襲撃》犠牲となった元プロレスレフェリーの無念 襲ったクマの胃袋には「植物性のものはひとつもなく、人間を食べていたことが確認された」  
女性セブン
大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン