ビジネス

ブラック認定企業 採用の応募減少や内定辞退されるケースも

 インターネット上では、「ブラック企業」批判が喧しいが、それが、一般のメディアにも広がり、いまや「ブラック企業大賞」まで設けられる事態となっている。本当にパワハラが横行していたりサービス残業を過度に強要しているのならばまだしも、根拠もなく「ブラック企業」として攻撃対象とされる企業も増えている。そしていったんブラック企業と“認定”されてしまえば、被るダメージは甚大だ。

 企業の評判や管理などの相談を受けるマーケティング会社「ネクストリンク」には、こんな相談が寄せられる。

「問題があった事実もないのに“ブラック”だと書かれて困っているという事例は多い。会社で気に入らないことがあった現役社員や元社員が、ありもしない悪口を挙げて『ブラック企業』だと書く。その企業の知名度が高ければ高いほど、その情報が拡散してしまう。

 採用面では実害を被っています。求人広告を出した時、応募する人はインターネットなどでその会社を調べる。その時に『ブラック企業』と書かれていれば、応募人数が減ったり、内定を出しても辞退されたりするケースが多くなってしまいます」(大和田渉社長)

 企業にとって優秀な社員を採用できるかどうかは死活問題だ。実際、ブラック企業だと名指しされた企業の関係者が打ち明ける。

「内定者がブラック企業批判を見て不安を覚え、『本当ですか』と連絡してくることがあった。若い社員の親御さんが心配して連絡してくるケースもある。採用チームが直接会って説明し、懸命に誤解を解きましたが、今後、それが理由で内定を辞退したり、就活生の応募が少なくなったりする懸念があり、頭を抱えています」

 さらに深刻なのは、実際にはブラックでもなんでもなかった企業が、「ブラック企業叩き」にあったがために、本当に“ブラック企業化”してしまうケースだ。

「叩かれた結果、採用が減ったり中途退職が続出したりすることで、残った社員にしわ寄せがいく。営業社員が少なくなれば、業績が悪化することもある。批判が企業を苦境に陥れ、その苦境を乗り越えるために社員に負荷をかけると、本当にブラック企業になってしまう悪循環になりかねない」(大手証券アナリスト)

 最悪の場合は倒産──。こんな“冤罪”がまかり通れば、日本経済はいったいどうなってしまうのか。

※週刊ポスト2013年7月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「学習院のご学友」も候補者リストに入っているという(2021年12月、東京・千代田区。写真/JMPA)
愛子さまのお相手候補に「ご学友」も 小室圭さん夫妻の影響で“学習院回帰”の流れ
週刊ポスト
志村けんさんが帰ってくる
《志村けんさんコント制作秘話》「オレは絶対に子ども向けには作らない」愛弟子が明かす師匠が珍しく激昂した瞬間
NEWSポストセブン
“英断”をアピールするはずだったが…(時事通信フォト)
岸田首相の「ウクライナ訪問」に海外メディアは冷ややか 「外交評価はゼロに近い」と外務省OB
週刊ポスト
東海大菅生・ 日當
ストップ・ザ・大阪桐蔭に名乗り 7種のフォークボールを投げる巨漢エース・日當の挑戦
NEWSポストセブン
霧馬山
優勝した霧馬山だけじゃない!? 「大関候補が4人」の大バーゲン状態に突入した
NEWSポストセブン
メルカリで事業縮小の流れ(時事通信フォト)
メルカリがリストラへ 280人規模の仙台オフィス閉鎖、「キャリア支援プログラム」活用を社員に依頼
NEWSポストセブン
愛子さまの将来のお相手は?(時事通信フォト)
皇室記者が準備する「愛子さまのお相手」リスト 最有力候補はやはり「賀陽家の25歳次男」
週刊ポスト
「コメンテーター・岩田明子」の評価は?(写真左から2番目/『サンデージャポン』のTiwtterより)
「安倍元首相に最も食い込んだ記者」元NHK・岩田明子氏 “三浦瑠麗氏の後釜”に浮上
週刊ポスト
水卜麻美アナのすっぴんに中村倫也は「かわいい」 テレビ局のメイクルームから始まる恋が「ミラクル」と言える理由
水卜麻美アナのすっぴんに中村倫也は「かわいい」 テレビ局のメイクルームから始まる恋が「ミラクル」と言える理由
NEWSポストセブン
清原和博氏(右)と次男の勝児内野手
清原和博氏、次男・勝児の甲子園デビューで驚いた「PL野球と慶応野球の違い」
週刊ポスト
旧NHK党党首の立花孝志氏(左)とガーシーこと東谷義和氏(筆者撮影)
【ドバイに集うクセモノ日本人】ガーシーが最長10年居住できる「ゴールデンビザ」を取得した経緯
週刊ポスト
岩田絵里奈アナと結婚発表の水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナの電撃結婚の背景にあった「岩田絵里奈アナの“左遷人事”」
NEWSポストセブン