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2013.07.21 16:00  NEWSポストセブン

大学の講義評価 ヘイトスピーチ的な内容もあると講師が告白

 授業の教え方・内容が適切かどうか、学生に評価させる「講義評価」という制度が広く行われている。しかし匿名をいいことに、評価ではない単なる中傷を書き連ねる学生もいるとか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が体験を語る。

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「大学の講義評価で、“クソババア、死ね”と書かれた」

 地方私大の女性教授の証言です。大学には講義評価というものがあります。学生に対して講義の満足度、指導が適切か、改善点などを聞くものです。その講義評価にこんなコメントが掲載されていたとか。これはたいていの場合、匿名で回収され、大学の職員が集計し、教員に渡すものなのですが。こんなコメントを書く学生も問題ですし、それをそのまま渡す職員もどうかと思います。ほとんどヘイトスピーチじゃないですか。もちろん、こんなコメントが出てくるということは、講義の進め方、教え方に問題があった可能性も無きにしもあらずですが。

 ちなみに、その女性教授は「以前、こんなコメントを書いてきた学生がいましたが、クソババアにも、生きる権利はあります」と講義で主張。その大学で武勇伝として語り継がれたのだとか。

 私は、院生であり、大学の非常勤講師でもあります。中年にして、講義評価をする側でもあり、される側でもありますが、率直に、これほどの茶番はないかと思っています。これはちゃんと、機能しているのかと。

 まず、文系の院生が受ける講義は10人以内の人数少なめのものが多く、匿名で書いたとしても、誰が書いたのか特定されやすいのですよね。そもそも、院生を指導する際は、教授のポリシーというものがありますので、意見が反映しづらいですし。

 それ以上に不愉快なのは、講師として評価される際です。前提として、私も講師としての指導力を高めたいですし、どんな小さなことでも言ってほしいと思っています。でも、批判のポイントがあまりにずれていて、やる気をなくすことがよくあります。

 過去、最高に不愉快だったのは、講義が微妙に伸びたことがありました。講義が伸びるということは、他の講義への移動時間が短くなるなど、学生にも迷惑をかける行為なので、よくないことはわかっています。でも、ほんの数分ですよ。これに対して、「講義が伸びたせいでアルバイトに遅刻してしまった。なんとかしてほしい」なんていうコメントが書かれ、それがそのまま私に渡されるという。講義が伸びたことは批判を受けるべきですが、そういう脱力するような自分の都合を書くなよ、と。

 他にも誹謗中傷に限りなく近いもの、それ、ポイントじゃないだろと思うものもいっぱいです。「マイクが聞こえにくい」など大学の設備に対する怒りを私にぶつけられたこともありましたね。

 また、学生というのは実にデリケートなもので、良かれと思って伝えたメッセージが裏目に出ることもあります。私はこれまでいくつかの女子大で教えてきたのですが、ここは構造的に世間知らずになりがちなので、珍しく意識高く「社会の動きをちゃんとキャッチするように」「視野を広げるために、旅行でかまわないから海外に行ってみよう」などと伝えたところ、「もう二度と女子大で教えないでほしい」「海外に行かない奴はバカ、みたいなことを言うな」というような批判コメントも。複雑な心境になりました。いや、自分は良かれと思って言ったのですけどね。伝え方に気をつけないといけなかったなと反省するわけですが。

 そして、最近では講義評価で出た批判に対して改善点を大学に申告する制度もあるわけですが、あまりに脱力する改善点というか批判に対して、改善しますと言うのは茶番ではないでしょうか。いや、面白い講義はちゃんと評価されているようですよ。ただ、結局、単位が取りやすく、先生が優しい(というか、甘い)講義が人気が出るわけです。

 ここから真面目な話をしたいと思います。大学は、学生はこの講義評価をまともに機能させようと思っているのでしょうか。機能させるためには。そもそも講義評価の意味や、どういう視点で書くかを学生に伝えるべきです。現状では特に説明もされず、単なる満足度アンケートとなっているように思います。書かれる内容も建設的ではないので、教員たちもスルーするだけです。

 また、いくら匿名とはいえ、書いてはいけないことはあります。それをそのまま渡す大学もどうかと思います。大学には、この世のものとは思えないくらいつまらない講義、やる気のない先生というものが存在するわけで、教育の質を高めるための講義評価は大切だと総論では思うのですが、問題はやり方です。正しいレビューの仕方を学生に教えるべきではないでしょうか。こういう話をすると「学生はそこまでバカじゃない」「学生をバカにするな」という話になりますが、実際、単にヘイトスピーチ的な内容を匿名で書くアンケートは教員のやる気を削ぐだけで何も生み出さないと思うのです。

 講義評価に限らず、学生にはレビューリテラシーを身につけさせるべきだと感じる今日このごろです。レベルの低い評価をしていると、自分もますますバカになりますからね。

 そんな不満を講義評価を控えた7月中旬に叫んでみます。さあ、今回はどんなコメントが飛び出すやら。

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