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日本でショッピングモール増加理由の一つはアメリカからの圧力

 現在、全国にあるショッピングモールの数は実に3096にのぼる(2012年12月末)。ショッピングモールが存在しない県はゼロ。

 かくして気がつけば日本中に広がるショッピングモール。いったい、いつ頃からこんなふうに増えたのだろう。

『都市と消費とディズニーの夢』(角川oneテーマ21)で、ショッピングモールについて考察した速水健朗さんが解説する。

「モールはもともと、アメリカで発祥したものです。自動車が普及し、フリーウエーが全米に敷かれた1940年代以降、フリーウエーを下りた一般道沿いに続々と作られていきました」

 それが日本にやってきたのは1960年代。日本初の米国的な郊外型ショッピングモールといわれているのが、1969年に東京・世田谷にオープンした『玉川高島屋ショッピングセンター』、通称タマタカだ。

 その後、景気の好転とともに、都市部を中心にショッピングモールが増えていく。

 千葉県船橋市に、売場面積日本一(当時)の『ららぽーと船橋ショッピングセンター』(現在の『ららぽーとTOKYO-BAY』)がオープンしたのは1981年。休日ともなると、自家用車でやってきては、買い物を楽しむ家族連れの姿が見られるようになった。

 1990年代に入ると、モールは地方でも乱立の兆しを見せるようになる。きっかけは、1991年の大規模小売店舗法、いわゆる大店法の改正だ。それまでは大規模店の出店は、地元に根づいた小売店を守るために規制されていた。しかし、アメリカ系の大型玩具販売店が、地元商店街の猛反対で出店不可能に陥ったことで、アメリカが日本政府に圧力をかけ、市場の開放を迫ったのだ。

 その結果、近所に大型のショッピングモールができた小売店の多くが店を閉めることになり、商店街はシャッター街化して、社会問題となった。それでもショッピングモールの勢いが止まらなかったのは、商店街の店主などのSOSの声や学識者の警鐘よりも、ショッピングモールが提示した新しい価値を、私たちが選んだからに他ならない。

※女性セブン2013年10月17日号

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