国際情報

中国の会社員 競争激化で年間60万人過労死、日本人にも波及

 過労死といえば、国際的に「karoshi」という言葉が通用するほどで、かつて日本の劣悪な労働環境の代名詞とされていたが、最近では中国の労働環境が悪化し、過労死による死者は年間で60万人、毎日1600人が死亡しており、世界一の過労死大国になっている。中国紙「中国青年報」が報じた。

 今年5月13日、北京の外資系企業で24歳の男性が急性心不全で死亡した。彼は3日間徹夜していたという。7月12日には36歳の男性が中国企業の経営責任者が脳血栓で昏睡状態になっていたが、3日後の15日には亡くなった。

 これらは過労が原因とみられる仕事中の死亡例だが、年齢は20代から50代まで広がっている。

 中国の場合、肉体労働者よりも頭脳労働者の方が過労死になりやすい傾向があり、いわゆるホワイトカラーのエリートの9割が「不健康」であることを自覚しているという。

 自覚症状としては、メタボ体型や糖尿病、心臓病、高脂血症、不眠、精神的な不安、食事の不摂生などを挙げている。とりわけ30代から50代にかけての男性に多く、一般的には気力も体力も充実した働き盛りの年代だ。

 これらの原因について、中国が厳しい競争社会であることが背景にある。人口も多く、幼いころから競争を強いられ、社会に出ると、厳しく成果を求められることから、過度のストレスにさらされる。さらに、身体的な病気が、それに輪をかけて、不安のあまり、自殺に追い込まれるケースも多い。

 このような過労死のケースは中国人ばかりでなく、中国駐在の日本人にも及んでいる。中国に派遣される日本人駐在員を主な対象とした保険コンサルタント会社のある調査によると、2011年の日本人ビジネスマンの中国での死亡件数(駐在及び出張)は71件。

 このうち自殺は7件で、アルコール中毒による死亡も2件含まれている。同社が担当しているのは日系企業約5200社。中国に進出している日系企業は約2万2000社とされるので、単純計算では年間約300人もの日本人が中国で死亡していると推定される。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン