ビジネス

良い会社とダメな会社の最も大きな違いについて大前研一解説

 もっとも素朴だが、なかなか答えが出ない問題、良い会社とダメな会社の違いについて、大前研一氏が解説する。

 * * *
 良い会社とダメな会社の最も大きな違いは何か?

 これまで40年にわたって国内外の企業の経営コンサルティングを手がけてきた私の経験からすると、それはたった一つのことに集約される。「経営トップが業績を立て直すためにどんな方針を掲げるか」ということだ。良い会社の経営者は「我が社の問題はこれだ」と一つのことしか言わない。一つのことを、4~5年かけて徹底的に実行させる。

 好例が、先ごろ100歳で亡くなった豊田英二・元トヨタ自動車最高顧問だ。トヨタ“中興の祖”と呼ばれた英二氏は「乾いたタオルでも知恵を出せば水が出る」と、無駄をなくすことだけを言い続け、トヨタの代名詞となった生産革新「カンバン方式」を確立した。

 常に強い危機感を持ち、私がトヨタ幹部社員1500人を集めた研修会に講師として呼ばれた時も「慢心は最大の敵だ。間違ってもトヨタを褒めないでくれ。トヨタがいかにダメか、それだけを言ってくれ」と何度も念を押されたほどである。

 一方、ダメな会社の経営者は、改善策を10も20も並べ立て、それらを全部やらせようと檄を飛ばす。しかし、社員は次々に出される指示に追いつけなくなり、結局は何も実現しない。

 良いコンサルタントとダメなコンサルタントとの違いも同じである。良いコンサルタントは、問題点を最も大きな一つに絞り込み、その改善策だけ提案する。

 ところがダメコンは、会社を分析して出てきた問題点が30あったら、そのすべてを指摘し、それを反転した改善策を羅列する。問題点の逆さまが改善策だと思っているからだ。しかし、会社は30もの改善策を実行できるわけがないので、どれも中途半端か、全く実行されずに終わってしまう。

※週刊ポスト2013年10月25日号

関連キーワード

トピックス

大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
《出所後の“激痩せ姿”を目撃》芸能活動再開の俳優・新井浩文、仮出所後に明かした“復帰への覚悟”「ウチも性格上、ぱぁーっと言いたいタイプなんですけど」
NEWSポストセブン
”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン