炭酸やビールなど、「ゼロ」を謳った飲料が人気だ。ところが、「ゼロ食品で肥満リスクは高まる」という衝撃データがアメリカで発表された。米ハーバード大学で研究員をしている大西睦子医師が、カロリーゼロ飲料の問題点について語る。
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カロリーゼロの炭酸飲料には多種の人工甘味料、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースなどが混ぜ合わされた“カクテル”状態で使われているものがあります。
“カロリーゼロ”の炭酸飲料には別の問題もあります。人工甘味料に加えてナトリウム=塩分が含まれているものがあります。ある商品では、360ml飲むと塩分を64mg摂取することになり、スナック菓子などと一緒に摂取すると塩分摂り過ぎの心配もあります。
最近では、トクホ(特定保健用食品)指定を受けた“ゼロ”の炭酸飲料もありますが、それらも人工甘味料や塩分で味をつくっているため、あまりお薦めできません。
発泡酒や第三のビール、流行りのノンアルコールビールなどビール風飲料の一部にも、アセスルファムカリウムなどの人工甘味料が使われています。
本物のビールの原材料は、麦芽やホップ、米、コンスターチなどシンプルですが、これが、発泡酒、第三のビールとなっていくときに、低コストでビールに近い味、香りにしなければならなくなります。特にカロリーゼロとなると、人工甘味料に加えてビール色をつけるためのカラメル色素、香料などさまざまな添加物を加えてビールに近いものにしていきます。
またアルコール風のノンアルコール飲料で、「糖質ゼロ」や「カロリーゼロ」を謳ったものの場合、成分表示を見ると、ゼロの炭酸飲料とよく似た表示になっています。ノンアルコール飲料も炭酸水に人工甘味料やカラメル色素で色や味を付けるわけですから、“カロリーゼロ”炭酸飲料との違いは、甘味料などの調合の仕方の差でしかないわけです。
同様にスポーツ系飲料でも、最近ではカロリーオフ、カロリーゼロのものが出ていますが、これらの多くの商品にスクラロースを主とする人工甘味料が使われているので、やはり飲み過ぎには注意したいものです。
●大西睦子(おおにし・むつこ):医学博士。東京女子医科大学卒業後、国立がんセンター、東京大学医学部付属病院などを経て、現在ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究を進める。
※週刊ポスト2013年10月25日号